カティンの森 【Katyń:2007】

見た。


カティンの森 [DVD]

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第二次世界大戦中にポーランドの将校がソ連に虐殺された事件を映画化したもので、史上最年少で槍騎兵の大尉に昇進したアンジェイとその妻アンナを中心に話が進む。アンジェイとアンナが中心とはいっても、他にもワルシャワ蜂起でドイツ軍と戦った女性とその兄姉、アンナを守るために形式上妻にしようとしたソ連軍の将校やアンナの甥、アンジェイの友人イェジ中尉、イェジの学生時代の教官で虐殺事件の証拠をソ連から守ろうとした医師、アンジェイらと同じ運命をたどったポーランド軍の大将と残された彼の妻子などが登場して、さまざまな立場から事件前後の世界を見せる。


というか、これたくさんのポーランドの人たちの運命を描いているけれど、見ていて強く感じるのはポーランドって可愛そうすぎるだろってところだったりする。というか、それはもう映画の冒頭、始まった瞬間から感じずには居られない。


だって一番最初、真っ黒な画面にキャプションが流れるんだけど、それは「1939年8月23日に独ソ不可侵条約が結ばれ、直後の9月1日にドイツが、9月17日にソ連がそれぞれポーランドに侵攻した」っていう内容で、その後初めて映像が映し出されるのはどこかの河に掛かっている橋の様子。その橋の上ではドイツ軍から逃げてきた避難民が大勢わたろうとしているんだけど、よく見ると反対側からも避難民がやってきて「ソ連軍が国境を越えて攻めてきた」といってこちらへ渡って来ようとする。


そう、宣戦布告もなしにいきなり東西から攻められて、軍隊は殆ど戦闘らしい戦闘もなく捕虜にされ、東西それぞれからやってきた避難民は避難する場所もなく橋の上で出会っているという開戦即詰み、の状態。


二つの大国に勝手に分割されて、それぞれが好き放題にポーランド人を収容所に放り込んだり殺したりしている。可哀想としか言いようが無い。見ていてすごく哀しい。ようやく戦争が終わったと思ったらソ連が親玉になってこれまた恐怖政治を敷いているという。自分たちが虐殺しておいて「ドイツ軍許すまじ」とか町中でプロパガンダを打っている。皆、真相を知っているにもかかわらず、ソ連がやっただろ、といえば待っているのは死だけ。こんなに酷い話はそうそう無いですよ。


地図上にポーランドを復活させる、とか言ってるんだよポーランド軍の将校が。しかもポーランド分割&地図からの消滅ってこれが5度目らしいし。


ポーランドそれ自体が不憫でならない。


あと、将校のほかにも一般の兵士も殆ど帰ってきていないというのも初めて知った。ロシア野郎は頭が悪いだけ性質が悪いのかもしれんな。まあナチみたいに効率的に殺処分していくのもたいがいだけど。


虐殺のシーンはこれといって特別ななにかがなかったにも関わらず、なぜかかなり堪えた。悲惨なシーンは結構見てきたんだけどなぁ。