大列車作戦 【The Train:1965】
見た。
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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ドイツ敗戦間近のフランス。フランスから撤退するドイツ軍のなかで、兵士よりもピカソ、モネ、ゴッホ、マチスといった巨匠の絵画をベルリンへ持ち帰ることを優先したワルドハイム大佐(ポール・スコフィールド)とそれを阻止しようとするフランスの国鉄職員たちの闘い。
国鉄職員のラビッシュをバート・ランカスターが演じている。ワルドハイム大佐の話し声に覚えがあると思ったら『わが命つきるまで』で主人公のトマス・モアを演じた人だった。
レジスタンスの話だけど、基本的には銃器を手にしたものではなく列車の運行を遅らせるというサボタージュがメイン。とはいっても意図的な遅延行為が発覚すると即銃殺されるので緊張感は十分。
ドイツへ向かうところを駅名や標識を書き換えることで、一晩かけてぐるり環状を描いて元の場所に戻したところは、見ていてシテヤッタリ感、カタルシスが得られるんだけどもそれも一瞬。関わった駅長その他大勢、子供まで含めて処刑される。皮肉にも、もともと絵画などのために命はかけられないと計画に反対していたラビッシュだけが生き残り、最後まで戦うことになる。
この、絵画を守れというロンドンからの指令はたぶん亡命政府&イギリス軍の指示なんだけど、伝えにくる爺さんとラビッシュの温度差は、他の映画でも見たような気がする。いくら夜中とはいえドイツ軍監視のなか貨車の天井に白いペンキを塗るなんてのは無茶だし、実際死者もでる。頭でっかちの計画というか人命を軽く考えているのがはっきりわかるので見ていてイライラする。奪われたところで破棄される可能性は低いのだから、そこまでする必要はないと思うんだけど。
たぶんそれは現場の実行部隊の人間にも分かってはいるんだけど、国の精神を守るんだという、亡命政府とは違った動機を強く持っていることが見ていて良く分かる演出・演技になっている。いや、亡命政府側も同じことを言ってレジスタンスを説得するんだけど、本当は彼らこそ金が目的だろう、そんな風に見えてくる。
レジスタンスのなかでも機関士だか運転手だかのブル爺さんがかっこよかった。貴重な絵画を満載した列車だと知らずに連合軍が爆撃してくる中、逃げずに列車を走らせ続けて守ったシーン。降りて逃げるように乗り込んできたバート・ランカスターを蹴落としながら、これはおれの列車だ!と叫んだところはしびれた。
あ、そうそう。装甲列車を盛大に爆破したシーンもかっこよかった。
只一点。一人生き残ったラビッシュが最後まで列車を止めようと奮闘(そして成功)するんだけど、連合軍が制空権を取っているのだから列車の先回りして盛大に線路を爆撃すればそれで済んだのにな、と思わざるを得なかった。いくらなんでも犠牲者が多すぎる。