キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー 【Captain America: The First Avenger:2011】

見た。


チビでヒョロヒョロで喘息もちなんだけどもヨーロッパへ行ってナチをぶっ飛ばしたくてしょうがない主人公スティーヴ・ロジャースを演じるのはクリス・エヴァンス(もやし時代のスティーブは見た目もやってることも『若き獅子たち』のモンゴメリー・クリフトそっくりなんだな)。『ファンタスティック・フォー』で燃えていた兄ちゃん(弟だけど)。


悪役はナチの現実的な(?)オカルト担当機関であるヒドラのトップ・ヨハン・シュミットで、ヒューゴ・ウィーヴィングが演じている。Vの人ね。この映画でも被り物していた。映画では脱ぐんだけど脱いだところもまた被り物という。被り物俳優決定。


で、このヒドラという組織、というかこのヨハン=レッドスカル=シュミットさんがナチ=ヒトラーさえ裏切って世界征服を企んでいたのでキャプテン・アメリカを中心とした独立特殊部隊が世界を救うために戦う、というお話。


そこに行くまでに、超もやしっこだったロジャースがナチから逃れてきたアースキン博士(スタンリー・トゥッチ)の作った血清注射&ハワード・スターク(ドミニク・クーパー)の作ったヴァイタ線照射によって屈強な肉体を得、血清の副作用としてもともと持っていた正義感が強化されたスーパー兵士キャプテン・アメリカに変身したり、変身成功したけれど博士が殺されスーパー兵士が一人しか作られなかった所為で兵士としての仕事は与えられず、舞台で偽ヒトラーをぶん殴る寸劇をして戦時国債を売って回ったり(後ろで踊っている星条旗の衣装を着た女性たちが素晴らしい羨ましいあれだけ見ていてもいい)、銃後では受けても戦地ではブーイング、後ろのダンサーだけが受けていて(そりゃそうだ)、落ち込んでいたところに親友がヒドラに殺されたという話を聞いて兵士として奮起するといった話がつづく。


で、そのときに知り合った兵士&実は捕虜になってこき使われていた親友とチームを組んでヒドラと戦うんだけど、肝心の戦闘がハイライト(ん?)の寄せ集めというかコラージュっていうの?ああいうので済ませてしまっているので残念極まりない。チームのメンバーもキャラクターとしては面白そうな面々だったのに見せ場なし(一人は『バンド・オブ・ブラザース』の人)。ヒロインも結構魅力的だったけど見せ場なし。ヒドラの兵器なんかも見た目は凝っているのに殆ど効果が見られない。ところどころ蒼く光っているだけという残念な結果に。


強烈なのは人間の皮を脱いだシュミット=レッドスカルの顔でその名のとおり真っ赤な頭蓋骨なんだけど質感のせいかあんま怖くない。やりすぎた感じで笑ってしまう。というかサミュエル・L・ジャクソンに見えるんだ。というかこのレッドスカルみてサミュエル・L・ジャクソンが頭蓋骨顔、スカルフェイスだって気がついた。


サミュエル出てないのにお得な顔だなーとか思っていたら出てきた。そうだった、この映画はマーベルだった。ということでどうも来年公開の『アベンジャーズ』の前振り映画でしかなかったんじゃなかろうかと思った。同じ前振り映画でも『マイティー・ソー』のほうが見せ場があった気がする(ひょっとして、あの蒼く光るキューブってマイティー・ソーに出てきたのと同じもの?)。この映画でこれは!と思うようなシーンはなかった。


でもそれなりに楽しかったのは見ながらいろいろ連想してたから。だいたいキャプテン・アメリカって身体が頑強ってだけなんだよね。つまり常時ハルク状態(ただし理性は保っている)。『アベンジャーズ』でキャラ被りそうなんだけどどうするんだ。


ヒドラの手下どもはほとんど『仮面ライダー』のショッカーで、森の中のバイクのチェイスシーンは仮面ライダーそのまんまに見えた。


いちばん面白かったのはレッドスカルの悪役っぷりがレプカムスカに似てると思っていたら、世界征服の切り札が巨大な航空機だったというオチ。どうみても『未来少年コナン』のギガントです


切り札、といったけど実際世界中の主要な巨大都市を攻撃する武器は人間魚雷に似た兵器、というか特攻兵器桜花そのもので、ちょっと微妙な気持ちになった。あれどう見ても操縦してる手下、死ぬよね?


で、エンドクレジットでは劇中で何度も出てきたアンクル・サムがまた出てきたりしたので、ちょっと引き気味に。いくつかの現実の戦争をすべてすっ飛ばして、ああいう映像で〆るってのはちょっと受け付けない。そういう点では最初から最後まで気持ちの悪かった『ウォッチメン』のほうがまだましに思えるんだけど、詳細は不明。いまはあまり考えたくない。