すべての美しい馬 【All the Pretty Horses:2000】

見た。





冒頭、色とりどりの野生馬が疾走していく様子が映し出される。ん、まちがいなくこれは馬映画だ!と思った。


半分くらいまではなかなか言い感じの馬映画だった。見ているだけで乗りたくなるような、そんなシーンもあった。


それがペネロペ・クルスが出てきてから大きく変わってしまった。なぜもっと馬を使わないんだ!


後半は恋愛の話からメキシコの刑務所の話にうつり最後にやっと馬に戻ってくるんだけど、これも特に名前がついた馬というわけでもないあたりがダメな感じ。名前倒れというかタイトル倒れ。そもそもお話の時点で焦点があっていない。エキセントリックな少年の話、牧場の話、牧場主の娘との恋愛、メキシコの刑務所に収監される話、帰国。どれにもピントがあってない。非常に散漫。


せっかく地平線しか見えないような草原や険しい荒地で撮影してるんだし、もっとそういうところを見せてほしかった。


とくに、メキシコ最後の大牧場主とよばれるロチャの170年つづいた大牧場の様子をもっと見たかった。広さは2万7000エーカー、牧場内で放牧しているマスタング400頭、牧場とメキシコシティを自家用機で行き来している、そういう大牧場。というかこれだけで十分いいのに。この牧場でちょっと馬映画っぽかったのはマスタングを一頭ずつつないで鞍を乗せて飼いならす場面。こういうのを見せるだけでいいのに。


たぶん主役の青年を演じた若いわかいマット・デイモンを見るに、彼が男に成長するお話にしたかったんだろうけど、お話のどれもが小粒でつまらん。っぱなし、な感じ。