アンダーグラウンド 【UNDERGROUND/Подземље:1995】

見てきた。


シアターN渋谷は初めて。ふつーのビルすぎて一度通り過ぎてしまった。中はよくあるミニシアターで大きさは京都シネマくらいかな。音が残念な感じ。装飾かなにかのパネルが共振するくらい音が大きかった。画質は綺麗。ひょっとしたらプロジェクター上映だったかもしれない。


最初にみたのがVHSで後年もう一度見たいと思ったもののレンタルビデオ屋さんには見当たらず、セルDVDを探したけれどそれも見つからず(DVDの販売元に聞いたところ版権が切れてそのまま絶版になったということだった)、マキノ氏にお借りして見ることができた。


で、映画ですが。んー“わからないんだけどなんか凄い”というのはいつ見ても同じ。全体通しての意味はやっぱりよくわからないんだけど、部分部分のイメージそのものにやられる感じ。そもそも地下で10年も20年も過ごすというのもかなり脳みそを刺激されるし(ジャケットにするだけのことはあって、結婚式はやっぱりすごいし)、地下のトンネルでは難民やUNの兵士たちまでがユーゴからアテネ、イタリアへと自由に行き来しているというのもそうだし、もちろん最後のドナウ川のイメージ(牛が群れで泳いできて上陸するところも島となって流れていくところも)も。


ヨーロッパが地下のトンネルで繋がってるというイメージは自分が子供のときに良く見た夢に似ている。夢ではうちの裏からトンネルに入って小学校まで繋がっていて、遅刻しそうなときにそこを使うんだけど狭いせいで乗っているトロッコのようなものが思うように進まなくて困る、というところでいつも終わっていた。ひょっとして世界中いろんなところでこんな夢を見ているひとがいるんだろうか。


あ、あと終盤の内戦のシーンで武器商人となったマルコを相手に「弾1発で3マルクは高い」と言って交渉をしている男がクストリッツア本人であることに初めて気がついた。マルクなんだね。あとやたらベンツの車が目立っているように見えたけどなんか意図があるんだろうか。ただのスポンサー?んなわけないな。


わかんないんだけど、これは違うと思う。

約170分という時間をかけて戦時中から半世紀のユーゴスラビア紛争と分裂の歴史を描くこの映画は、私たちの中にあるコントロール不能な力を全力で謳い上げる。いつ誰がどこに境界線を作ろうとも、私たちにはそれを突き破る力があるのだと。




いつかこれだってなんか言えるようになれるかな。無理かな。