彼奴は顔役だ! 【The Roaring Twenties:1939】
見た。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2005/02/04
- メディア: DVD
- クリック: 16回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
原題は"The Roaring Twenties"で「狂騒の20年代」という意味らしい。WWI終戦後から1929年の大恐慌までの時代を表す慣用句っぽい。
ということでこの映画の内容そのままを表している。それに比べると邦題は情けない感じ。脇役のボギーから連想したようなタイトルになってしまっている。
たしかにハンフリー・ボガートも唯一といっていいほど迫力の伴った悪役を演じていていい演技しているなと思える。ほかの脇役についてもお笑い担当のダニー(Frank McHugh)もいい顔してたし、長身でハンサムな弁護士ロイド(ジェフリー・リン)もそれらしく決まっているし、ジーン(プリシラ・レーン)もキャラクターはともかく、見た目はそれなりにかわいい。
しかし。やっぱりこの映画の主役はジェームズ・キャグニーだし、ヒロインはパナマ(Gladys George)だ。この二人の存在感は群を抜いている。
とはいえ、この二人の存在感はまったく種類が異なる。グラディス・ジョージのほうはいわゆる「演技」が上手い役者としての存在感(彼女はすこしたれ目で、どことなくマギー・ジレンホール(ギレンホール)に似ている)。
一方のジェームズ・キャグニーは演技を見ていても怒っているのか笑っているのか喜んでるのか悲しんでるのかさっぱりわからない。そのへんは話の流れと台詞から推測するしかない。ひょっとすると彼が演じた役エディーはアスペルガーだかなんだかという設定かとも思ったけど違うみたいだし、良くわからなかった。
じゃあ大根役者なのかというとどうもそんな感じもしない。最初から最後までずっと変わらないというのも凄い。いったいどこに惹かれるのか良くわからないけど見てしまう。ハンフリー・ボガートや周りの役者の演技は見ていればどう考えているのか感じているのかがわかる、普通の演技なんだけど、彼だけ特殊だった。ボギーは迫力あってよかった。目つきが違う。
あと、この映画はモノクロなんだけどくっきりとしていてクリアな綺麗な画質で、撮影も『探偵はBARにいる』みたいなヘボではなくて、ちゃんと頭を使って、きっちり考え抜かれたカメラワークになっている。ん。ピントでイライラすることは一度もなかった。