探偵はBARにいる 【Tantei wa bar ni iru:2011】

見た。


映画「探偵はBARにいる」


いいよ、これで。


まあアクションの切れがイマイチだったり、全体にテンポが悪い微妙に遅れるとか、その結果長すぎるとかあるんだけど、画面のトーンはこんなものでいい。あと主役の探偵(大泉洋)とその相棒高田(松田龍平)のキャラも悪くない。



最初大泉?なんでだよ、と思っていたけれど、この見た目三枚目の男が自分をかっこよく語るときにその意味がわかった。松田龍平が格好つけるとそのまんまで終わってしまうんだけど、大泉洋ならギャグになる。


で、存在自体をギャグとしてかましておきながらシリアスなシーンを配置すると効果的。相棒の松田龍平のキャラクターのほうが面白いし好きだけどやっぱり主役にはできない。


アクションも微妙にトロイというかもっさりしてるんだけど、重すぎず軽すぎずというバランスはいい感じ。これは銃器についても同じ。北海道(ススキノ)が舞台ということもあって、当然雪がたくさんある。その雪が積もっているからこそできるアクションというか動きもあって楽しい。


あと事務所代わりに入り浸っているBARの一言もしゃべらないマスターとか毎日朝飯(ナポリタンと珈琲)を食ってる喫茶店(インテリアがひどい)のウェイトレスとか地元やくざ桐原組の若頭(松重豊)、地元地方紙の記者(田口トモロヲ)なんかも悪くない(ウェイトレスと記者はちょっとしつこいのでもっと出番を切ってもいい)。


この映画となった事件の関係者についてはちょっと残念。西田敏行が演じた地元企業の社長が過去に学生運動の活動家だったという話はなくていい。大泉を痛めつけたスポーツバーのマスターと覆面レスラーの話も入りません、というか邪魔。あと小樽のシーンも長すぎる。あのあたりをばっさーっと切って、全体的にぱっぱとテンポ良く進めればいい映画になった(はず)。


ネタばれになるけどさ、15時ちょっと過ぎにJRに飛び乗ったって小樽から札幌は40分はかかる。とすると16時からの披露宴には間に合わない可能性が高い。まあ大泉もそれがわかってるから「もっとスピード上げてくれ」って叫んだんだろうけどさ、おまえ携帯電話使えよ。どうしても助けるっていうなら警察に連絡できるだろ。広域暴力団の関係者の披露宴についての話なら警察だって聞くだろ?


とはいえ、邦画の現代劇としてはまあまあよかったんではなかろうかと思った。まあ昨日『玩具修理者』なんてどうしようもない屑見ていたとか、ちょっと前にこの映画といろいろ被っているところもある『刑事物語』を見ていたということもあるだろうけど。2時間ドラマでもいいっちゃいいけどTVだと画面が明るすぎるからね。


今回の事件がらみの登場人物はともかく探偵の日常まわりのキャラクターは相棒の松田龍平はもちろんそのほかのキャラクターも悪くない。なので続編があってもおかしくない。


今回は主要キャラクターの紹介と探偵・大泉の一種の悲恋物ということなので、続編はぜひ、女っけのまったくない相棒・松田龍平が女に惚れたすえのドタバタ劇が見たい。あのキャラクターはなかなか魅力的。車のギャグはもう続けてもいいけどもっとすばやく簡単に!しかしマフラーの反対側からアフターファイヤーっておかしいだろ。。



追記:画面のトーンはいいんだけど、撮影がちょっと、というかぜんぜん駄目だった。最初に西田敏行演じる社長が創業20周年記念パーティーから帰るときに階段を下りてくるシーンがあったんだけど、すぐ後ろにいる妻役の小雪がボケていたのがひっかかった。


で、その後も見ているとあらゆる箇所でピンボケがあって、正直見るのがいやになった。どういうことかというと、被写界深度が浅いということ。それもどのシーンでも。


あのね、人の顔(物でもいいけど)をアップにしているとき、寄っているときはそれでもいいんだけど、引きで撮っているにもかかわらずアップのときと同じような被写界深度で撮影しているの。もう馬鹿かと。


右翼団体の道場のシーンなんて、奥から手前に向かって3人ほど全身が写っているのに、ピントが一人にしか合ってない。もう死ねと。台詞しゃべってるやつにだけ合わせたかった?違うね、あれはなんも考えてなかった、そういう撮影だ。


ひょっとしたら自然光だけで撮ろうとしたせいなのかもしれないけど、あそこまでピンボケしてしまうのは駄目すぎるだろ。ちったぁ頭使え。


もいっこ追記:小雪がやっていたクラブはたぶん『プライド』で出てきたのと同じお店。キンキラの内装と階段とピアノが記憶と一致してる。『プライド』ってこれね。


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満島ひかりが出ていたから見ただけなんだけど。あれはひどい映画だった。