正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 【Crossing Over:2009】

見た。





移民税関捜査局が不法移民、不法滞在者の検挙するために縫製工場へ踏み込むところから始まる。捜査員のなかでも指揮官クラスのベテラン捜査官マックスを演じているのがハリソン・フォード


マックスは若い女性の不法滞在者ミレヤを見逃そうとするが、同僚に見つけられたためしかたなく検挙するが、彼女には幼い子供がおり、助けてほしいと頼まれる。同僚の手前彼女から渡された子供の居場所を書き付けたメモを捨てるが、夜中に目が覚めたマックスはメモを拾い、子供の居場所を探し始める。


お話はこのメキシコからの不法移民ミレヤ親子、マックスの同僚で一家そろって革命後のイランからアメリカにわたってきたハミード(クリフ・カーティス)、ハリウッドで成功することを夢見てオーストラリアから観光ビザでやってきたクレア(アリス・イヴ)、彼女の知り合いで同じくミュージシャンとして成功したがっている南アからやってきたユダヤ人ギャビン(ジム・スタージェス)、車の事故をきっかけにクレアを脅す移民判定官のコール(レイ・リオッタ)とその妻で不法移民の人権擁護に奔走する弁護士移民判定官のコール(レイ・リオッタ)、ある事件のため彼女に弁護されるようになったバングラディシュからの不法移民一家の長女タズリマ(サマー・ビシル)、子供の未来のためにとアメリカに移ってきた韓国人一家。


これらすべての人物や家族について移民、永住権、市民権をめぐるトラブルや葛藤を見せていき、最後には彼らのすべてが少しずつ関連を持っていることが明らかになる。


どうも救いがなくてしんどい。画面のトーンだけでなくお話の雰囲気なんかも含めてソダーバーグの『トラフィック』を思い出した。ふう。


正直この映画で見えているアメリカ合衆国にまったく魅力を感じないんだけど、それでもまだ母国よりましだということで合法・違法を問わずわたってくる人たちが大勢いるっていうところがきつい。あれがよく見えるということは元居た場所がそれ以上に悲惨なところだったということで、世界ってほんとうに、無残なことになっているのだなと。


バングラディシュからの不法移民一家の中心人物である長女タズリマ(サマー・ビシルの演技も)がとてもいい。彼女の一家が追い詰められていく過程というのが、ずっと昔であればそんなバカなことあるわけない、といった展開なんだけど、今なら十分有り得そうなところもグッとくる。