若き獅子たち 【The Young Lions:1958】

見た。





第二次世界大戦のお話。若き獅子というのはたぶんドイツ人で後にナチの将校となるクリスチャン(マーロン・ブランド)、アメリカ人で冴えない感が溢れているノア(モンゴメリー・クリフト)とブロードウェイで活躍している二枚目マイケル(ディーン・マーティン)の三人のこと。ノアとマイケルは徴兵検査で出会って以来友人となる。ノアはユダヤ人。


でもね、獅子っていってもいいかなと思えるのはせいぜいマーロン・ブランドくらい。彼にしても体格に似合わず声が高くて細いのでちょっと迫力に欠ける。モンゴメリー・クリフトなんてすごくヒョロヒョロで見た目どうにもならないほど貧相なんだけどこの映画で一番きれいなホープホープ・ラング)と結婚するのだ。それも一目ぼれで。ありえん。ディーン・マーティンもマーロンと同じようにけっこういい体格なんだけど自分で言っているように臆病者だし垂れ目の二枚目なので獅子には見えない。


というのは置いておいて。冒頭クリスチャンがスキーのコーチをやっているシーンから始まるんだけど、ここで彼はスキーのコーチは冬だけ、普段は父親の営む商店を手伝っているが、そんなケチなところからは抜け出して何者かになりたいといったようなことを言い、同時に政治には関わりたくないがヒトラー=ナチは希望を与えてくれたとも言っていて、「お、これはなかなか面白いかもしれない」と期待した。


そう、期待したんだけども唯一獅子に見える、そして実際、田舎の商店の息子から勇敢で優秀なドイツ軍将校になったクリスチャンについては人物造形がいまいちな気がした。統一感がない。最後希望・理想を失って壊れていくところも演技自体はいいと思うんだけどそれまでの流れと一貫しているように見えない。もったいない。


ノアは入隊後の訓練でおなじ中隊の仲間から苛められ(上官のリー・ヴァン・クリーフが若い!)、そのうちの4人と決闘をするあたりはなかなか面白かったけれど、いかんせん魅力が無さ過ぎる。モンゴメリー・クリフトって二枚目俳優という位置づけらしいし写真みるとたしかにトム・クルーズとよく似ているものもあるんだけど、この映画で見るかぎりはさっぱり。まあいいけど、ようするにホープ・ラングと結婚したことが気にいらないの。けっ。


ディーン・マーティンは最後までいいところがない。付き合っていた情報部の女は見た目はまあまあだけど最悪の糞女で、見ながら「お前が前線いってお前が死ね!」とずーっと思っていた。相対的にホープかわええ!となる一因。


一応ユダヤ人の強制収容所が出てきてガリガリにやせた人たちがぎっしり映っていた。これは新しいのかな?よくわからない。最初に書いたけど、ナチを支持したドイツ人の気持ちに触れているのは新しいような気がしたけど。。


あと、長い。ぜんぜん違った3人の青年が最後に集まるっていうのはいいけど、3人それぞれにかける時間や力の配分が悪い。


追記:新しいといえば、迫撃砲なんかが着弾・爆発するとカメラが左右に揺れる。ほかのシーンでは最近の映画のような手振れはまったくない。爆発のときだけカメラが大きく揺れる。これも当時としては新しかったのかな?1958年の戦争映画。