山猫 【Il gattopardo:1963】
午前十時の映画祭で見てきた。
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2005/06/25
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長かった。お尻が痛くなった。面白いつまらないに関係なく映画館で見るには3時間は長い。
1860年前後のイタリア統一戦争の時代、シチリア島が舞台。サリーナ公爵(バート・ランカスター)一家とその甥で義勇軍に参加したタンクレディ(アラン・ドロン)を中心に話が展開する。
その義勇軍と国軍?の市街戦のシーンはガチャガチャしていて賑やかだけど、よくみると躓いてこけただけのやつがそのまま死んだ振りしてたり堂見ても死んでるやつが走ってたりいい加減にも程があるだろうという気の抜けた出来。せっかく人間集めてるんだからもっとやりようがあったと思うんだけど監督にやる気がなかったのかも。というかイタリア人エキストラには無理なのか?
その市街戦のやる気のなさとは対照的に、公爵一家やその他貴族の世界の描写は力が入っていて見ていて面白い。冒頭の公爵の屋敷、衣装、旅行の様子(馬車に乗ってると砂埃で顔や服が白く汚れるのね)に最後の舞踏会など、画面のどこを見ても面白いものが写っているのでたのしい。画としてもとても綺麗。ひょっとすると市街戦のシーンも画は綺麗だったかも。
ただ舞踏会のシーンは長くてちょっと辛かった。あとで知って驚いたんだけどもあのシーンは自然光だけ、つまりあそこに写っていたろうそくの明かりだけで撮影したそうで、それにしてはずいぶん明るいし色も鮮やかだった。フィルムの修復の成果だろうか。
この映画の解説で、没落貴族を描いたということだったけど、それほど没落しているようには見えなかった。一家で所領をめぐる旅行に出たときには村中のひとに総出で歓待されていたし。あれでも没落していたというなら全盛期は凄まじかったんだろうな。
この映画はどうみてもバート・ランカスターというキャスティングが極めて重要なんだけど、ランカスターよりギャラが少ないといってゴネたらしいアラン・ドロンはある意味すごい。
バート・ランカスターと並ぶと大きいはずのアラン・ドロンがちっちゃくみえる。幅もあってどっしりしているしボス山猫みたいなごわごわのモミアゲにごつい口髭、眉毛の端っこはグイっと空を向いていて、まさに威容。にもかかわらず目の青さが際立っていて不思議な魅力がある。アラン・ドロンの瞳は水色だけどバート・ランカスターは真っ青。
建物もほんんものだし小道具もいいしなにより衣装が格好いい。一家そろって神父につづいて祈りをささげた後すっくと立ち上がったときの公爵の姿は目に焼きつく。