再会の街で 【Reign Over Me:2007】

見た。





歯科医のアラン・ジョンソン(ドン・チードル:なぜドンがモテモテ設定なのだ!)は仕事(数名の歯科医を率いてクリニック経営)も家庭(綺麗な奥さんに女の子二人)も順調で幸せだったところに歯科大学時代にルームメイトだったチャーリー・ファインマンアダム・サンドラー)と再会、911のテロで家族を失っていたチャーリーだけでなくアラン本人の隠れていた問題も露になっていく。


妻と娘二人に愛犬までが911のテロで墜落した飛行機に乗っていたために家族全員を一度に失ったという設定。しかし911のテロの被害者であるという点はほとんど意味がない。ごく一部、逮捕されたときに訴追されなくなった理由としてのみ機能していた。


深く傷ついた人間の再生。これをアダムが演じていたんだけど、えっと糞だなアダム。アダム・サンドラーがやってるという点ですでにずるい。もともとアダム・サンドラー好きでちょこちょこ見てはいたけど、この映画が一番良かったかもしれない。ま、ずるいんだけどな。


裁判官を演じていたドナルド・サザーランドは短いながらかなり美味しいところを持っていた感じ。殺された妻の両親、チャーリーからいえば義理の両親(にして最後の親戚)の老夫婦もなかなか芸達者な感じでよい雰囲気だった。


チャーリーとこの二人(特に義母)とのある種の和解と呼んでいいだろうあの場面は、これまで何度か書いてるけれど、映画『フィラデルフィア』でトム・ハンクスが最初にデンゼル・ワシントンに弁護を断られてビルを出来てきたあの場面と同じような衝撃。うろたえた。ま、アダム・サンドラーずるいんだけどな。


で、今日のついったーに今回の震災をネタに俳句を詠んできた人が大勢いたとかなんとかいう話が流れていて、進行中の事件(あるいは大きな悲劇)に対する距離の取り方ってむずかしいね、というようなことだったんだけども、この映画は2007年の公開。911テロから6年後。


この映画のほかにも911に関連した映画、もっと直接的に扱ったものはいくつも作られている。どれも距離感や誠実さという点では上手く処理していたように見える。この映画もその点は同じ。再生が予感できるようなエンディング(アランの家族の問題はほぼ解決)ではあるけれど、結論は描かれていない。6年後でもこういう扱いしかできないのはなんとなく理解できる。今でさえハッピーエンド、バッドエンド、どちらにしろはっきりとした結論を出すことは出来ないはず。まあ皆生きているわけで、ならば当たり前、ということなんだろうけど。


ワンダと巨像』って面白いの?