誰がため 【Flammen & Citronen:2008】

見た。


誰がため [DVD]

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ナチ占領下のデンマークパルチザンとしてテロ行為をしていた二人フラメン(炎)とシトロン(レモン)の話。


北欧ということなのか、画面がうっすらと暗め。町並みはなかなか美しいし画面のトーンも好き。都市部でのテロ・暗殺というところも緊張感があってなかなかいい。銃撃戦もなかなか良かった。ちょっと『ミノタウロス』の最後を思い浮かべた。


シトロン役のマッツ・ミケルセンもいいけどフラメン役のトゥーレ・リントハートが良かった。なにがいいって燃えるような赤毛がいい。というか暗殺者であの赤毛は目立ってしょうがないと思うんだけど、どうも途中からは身元もばれていたようなので構わないということかもしれない。後半変な帽子(ベレー?)を普通の背広とコートに合わせてるんだけど、それはそれで目立ってた。





007『カジノ・ロワイヤル』のMr.Whiteを演じていたJesper Christensenがフラメンの父親役で、『ミュンヘン』でチームの一員だったおじさんハンスを演じていたハンス・ツィッシュラーがドイツ軍の大佐役で出ていた。ヨーロッパの役者っていろんな言葉が達者のようで、誰が何人かよくわからない。


役者でいうとヒロインがまったく魅力がなかったのが残念。ま、これは私個人の趣味の問題だろうけど。


全体的によかったんだけど一点気に入らないところがあった。それは数回しかなかったことなんだけど、カメラが人物の顔に寄るの。いったん広く写しておいてそこからぐーっと一人の顔に寄る。これが鬱陶しい。トニー・スコットの映画よりは静かな寄りなんだけど、やっぱり嫌いだ。


なんでこれが嫌いなのかと少し考えた。映画で写しだされているものはもちろん製作した側が見せているわけだけど、画面の中のどこを見るかということは見ているこちら側が決めること。それがああいうズームを使われると、ここを見ろ!と指示されているようで、というか事実そういうことで、強制されているという感覚が嫌なのだ。


これズームせずに素直にカットを変えて写してくれていればこういう反感は抱かないと思うんだけど、なぜああいう押しつけがましい寄りを選択してるんだろう。あれを見せられた瞬間、作り手の意思を意識せざるを得なくなる。それまでは「自分で見ている」という感覚でいるところにいきなり作り手の声が刺さるのはやっぱり嫌い。