曇り

こんなときに、どうかとも思ったが、今年も東大寺修二会に行ってきた。開始前に、北河原(たぶん)さんからアナウンスがあった。異例なことだったが、内容はやはり現在この国で進行中の未曾有(戦後世代)の事態についての話だった。

さすがに宗教者だけあって感動的、という感じでは全くなかった。東大寺を建立したとき、多くの人びとが聖武天皇の呼びかけに応じてその微力を集めたことをひきあいに、今日ここに集まった人たちが一人ひとりが出来ることをやろう、という内容で、同じ島に暮らす同じひとりの人間としての率直な言葉だった。その声は詰まり気味で、どうやら涙をこらえている様子だった。

まっすぐ差し込む、胸に迫る言葉だった。