愛のむきだし 【Love Exposure:2009】
ようやく見た。
- 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
- 発売日: 2009/07/24
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メインの3人の若い役者がいい。3人とも癖のある灰汁の強い難しい役だから、役者としての技量の見せどころ満載。ただ主役のユウ(西島隆弘)はほかの二人に比べてちょっと落ちるかもしれない。ユウが女装した「姐御サソリさん」というキャラクターのために女装が似合うというところがキャスティングのポイントだったのかもしれない。
子どものころに母親を亡くしたユウの父テツ(渡部篤郎)が神父になり、そこにカオリ(渡辺真起子)というどう見てもアバズレにしか見えない女が現れ、神父に縋りつくようにして迫るが、独り身とはいえ神父であるテツはこれをなかなか受け入れない。そのうちエスカレートしたカオリはテツを押し倒して襲う。
と、ですね、あっさりとテツが落ちるわけですよ。神父なのに。これ以降テツはただ渡部篤郎その人にしか見えなくなりました。ダメな男が似合うわぁ篤郎さん。
いっぽうのカオリは結婚してくれないテツに愛想を尽かしてあっというまに出て行ってしまう。巨大な台風が通り過ぎたようなテツとユウの父子の家庭はテツが壊れることで完全に崩壊。
このカオリという人物、やることなすこと無茶苦茶で、嫌悪しそうな感じなんだけどけっこう印象は悪くない。渡辺真起子演技によるんだろうな。わたしはこの直情径行なカオリという人物が「愛のむきだし」そのものなんだろうなと思っていた。途中までは。
これが違ったんだな。やっぱり「愛のむきだし」は主役の三人ユウとヨーコ(満島ひかり)とコイケ(安藤サクラ)周りにあった。たぶん。きっと。
最初にも書いたけど満島ひかりと安藤サクラ、かなり濃い。満島ひかりは『プライド』でも見たようないわゆる熱演部分が多い。ちょっと昭和な感じがする。安藤サクラは表情がすごく気持ち悪い。あの気持ち悪さはめったにお目にかかれない。貴重な役者かもしれん。
この映画、見たところTV番組のような感じがしていた。画面なんかの軽さと言うかなんというか。
それがやっぱり映画なんだなと思ったのはコメディのような展開にもかかわらず最初から最後までずーっと感じられる気持ち悪い、不穏な空気が一因。もうひとつはすごくきれいな画が時折現れる。これがかなり決まっていて、そのほかの軽いところとコントラストが強い。
誰にでも一目でわかるのはたぶん砂浜で砂にまみれて灰色の顔をしたヨーコ=満島ひかりが聖書の一節を延々とそらんじるところ。あれはぞくっとくる。
あと音楽の使い方ががけっこううまいのかもしれない。選曲というか。特にゆらゆら帝国の『空洞』ってすごく効いてる。たんに耳に残るだけでなく、あとでゼロ教会の歌として出てきたり。
もう一回見てみたい気もするけど長いので躊躇する。もうちょっと何かがアレなら傑作といってもいいような、そんな映画。
あとぱんつぱんつぱんつ。これはぱんつ映画。