ロビン・フッド 【Robin Hood:2010】

見てきた


まあまあ。いちおう弓を使ってはいたし、マーク・ストロングを仕留めたように腕も確かではあるけれどそれほど見せ場はない。どちらかというと『ブレイブ・ハート』のウィリアム・ウォレスっぽい感じで先頭に立って指揮をするところが目だった。つうか一兵士だったおっさんがいきなり一軍の将が務まるものかね。


戦闘シーンではやっぱりフランス軍の上陸を阻止しようとするイングランド軍という場面が一番の見せ場なんだろうけど、規模がちっさくない?船の数の割りに実際浜辺で戦っている人間が少ない。ロングボウの威力はけっこうなものがあったけど。あとあそこにケイト・ブランシェットがいることが納得できない。さらにおかしいのはノッティンガムのシャーウッドを根城にしていた孤児たちが参戦しているところ。説明がなさ過ぎるだろ。


時代を考えると日本だと元寇があったわけで、この映画のようにお互い勝手知ったる英仏対決よりも、殆ど見知らぬ他文明の軍隊同士がぶつかる元寇のほうがきっと面白いし規模も大きいし映画で見てみたいんだけどいかんせん金がない。


しかし、よしんば金があったとしても撮れないんだろうな。先日見た『十三人の刺客』でも同じ屋根の上に上って矢を射るシーンがあったわけだけど全然ちがう。テンポが違う。ほんとならダンビラ振り回しているより刀のほうが圧倒的にスピードのある戦闘シーンが撮れるはずなんだけど。


そうそう。『十三人の刺客』と違ってよかった点がもうひとつあった。それは馬。『十三人の刺客』でも結構な数の騎馬が登場するシーンがあったけど、正面から見たらたいそう間が抜けた画になっていた。スリムすぎるんだ、お馬さんが。体高が高すぎるし。競走馬丸出しなんだもん。それにくらべて『ロビン・フッド』に出てきた馬はかなりよかった。種類はわからないけどサラブレッドではないわ。


ロビン・フッドが乗っていた白馬もよかったし、ノッティンガムにロクスレーの剣を届けにいったところで爪を切られていた毛足のながい馬もよかったし、ウィリアム・ハートの前で調教されていた馬もたいそうりっぱな姿勢でかっこよかった。


そういえばロビン・フッドが乗っていた白馬はリチャード獅子心王の馬だった。ジョン王からアウトロー宣告を受けた後に映ったシャーウッドの森のシーンでは王の所有物とされる鹿を捕っていた。そういう意味でロビン・フッドはあの時点で王になっていたのね。


しかしだよ。深謀遠慮というか慎重で有能な臣下だったウィリアム・ハート演じるマーシャル卿さんよ。フランス軍が降伏したときにさ、ジョン王にむかって彼らはロビン・ロングストライドに降伏したんです、とか言うなよ。気持ち汲めよ。分れよばーか。お前の所為だ。お前がジョン王、イングランド王であるあなたに降伏したのです、といっとけば丸く収まったんだから!


ふう。というかこれロビン・フッドの映画じゃないよね。ロビン・ロングストライドロビン・フッドになるまでの映画だよね。続編作る計画ないんだろうけど、撮れるよね。タック和尚とか全然だもんね。棒術とかつかってなかったっけ?


ということでこの映画はそんなにいいとは思えない。よって2010年の極私的ベスト3には入りません。入れません。


エンドクレジットで流れた映像は本編で使われた映像の上に色を塗ってアニメーションぽくしたものだったけど、ヨーク見るとイスラム教徒と戦っているシーンらしいものも見えたので撮影したけど使われなかった映像を利用したのかもしれない。DVDだと特典とかで付いてきそうな。