レイチェルの結婚 【Rachel Getting Married:2008】

見た。





いや、すごかった。


姉の結婚式を控えた家に薬物中毒の厚生施設から妹が退院して帰ってくる。姉がレイチェル(ローズマリー・デウィット)で妹がキム(アン・ハサウェイ)。



で、過去にキムがなにかやらかしてしまったことは最初から臭わされていて、映像を見ているだけで大体想像がつく。そして割と早い段階でその想像通りのことが起こっていたことが明かされる。


ということで、キムはこの一家のなかでは爆弾のようなものでいつ大爆発が起きるのか、とヒヤヒヤしながら見ることになるんだけど、ネタばれしてしまうと、結局恐れて(期待して)いたような大爆発は起こらない。


しかしです。そのいつ大爆発が起こるか、という緊張感がすごい。これをずーっと引っ張られるんだけど、悪い気はしない。腹も立たない。うまいんだな、要するに。


で、さらにうまいなと思うのは、大爆発も起こらないけれどすっきりきっぱりと解決するわけでもないというところ。その辺りがすごく自然に感じられて納得してしまう。姉の言っていることも良くわかるし、キムの駄目さ加減もなんとなくわかるし、父ちゃん(Bill Irwin ビル・アーウィン?)ががんばってるのも良くわかる。まわりにジャンキーなんて一人もいないのになぜか、「あーこういうもんなんだろうなー」などと思ってしまう。


どうやって終わらせるんだろう、と思っていたら何事も起こらないまま静かに朝を迎えて、それぞれが新しい日を迎える、というエンディング。なんとなくほんのり明るいというだけで、根本的には解決していないし、これから先、まだいろいろあるんだろうな。と。


キムが癌細胞であることははっきりしているんだけど、はい切除、とは行かない。しょうがない、家族というのはそんなもんだ。と。私自身はどっちかというとレイチェルの言い分がもっともで、、キム、お前いい加減にしろよ、自業自得だろうが、今日明日だけでももうちょっと気を使え、とか思う。私なら、お風呂の場面がなかったら言ってはいけないであろう言葉を口にしてトドメをさして血みどろの結婚式にしてるかもしれん。


ま、しょうがない。


で、最後に見覚えのある名前がすっと現れる。ジョナサン・デミだと。うめえな、おっさん。


父ちゃんもよかったけど、別れた女房である母ちゃんもよかった。キムと口論になって思わず「お前が殺したんだ」といってグーで殴るとこ。デブラ・ウィンガー


そういうお話とはべつに、結婚式が舞台なのでパーティーがあるんだけど、そこの音楽の無国籍っぷりというか多国籍っぷりがすごくいい。パーティー以外の場所でかかってる音楽もバラバラなのになんかいい。衣装もバラバラだし。でもいちばん好きなのはガネーシャというのだろうか、あの象さんのケーキ。食欲を減退させるという真っ青な色。さすがメリケン、やることが違うわ。あれ食べてみたい。ちらっとしか写らないけどすごくよくできてると思う。