レニングラード大攻防1941 【GUNPOWDER:1985】

これを見た。





はずだった。まちがった。大間違いだった。恥ずかしいやら腹立たしいやら情けないやら面白い。見たのはこっち。


レニングラード大攻防 1941 [DVD]

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ドイツ軍に包囲されたレニングラードにはなんと戦うための火薬がまったくなかった。ということで、海を渡った海軍基地まで火薬を受け取りに行く、という計画がお偉いさんからドスンと落っこちてきて、町の党員のなかで頭でっかちで融通の利かない禿親父が選ばれる。なぜなら海軍で使用する火薬のなかには陸軍では使えないものもあるため火薬を見分ける知識を持ったこの親父が選ばれたのだった。


ドイツ軍の戦闘機に攻撃されながらも海軍基地にたどり着いた一行は基地の司令官から制空権を取られているため昼間は行動できないから夜に運べ、と指示を受けるも、なぜか最後まで夜のシーンはなく、真昼間に火薬を運ぼうとしては空爆機銃掃射を浴びて吹っ飛ぶ、ということを延々と繰り返すのだった。ようやくクライマックスではこの禿親父本人が乗船し、深い霧だから安全だということでレニングラードに戻ろうとするが、揺れが心地よかったのかうとうとしているうちにその頼みの濃霧はすっかり晴れてしまい、しかもよりによってドイツ軍の目の前だったので、兵士を満載したボート4、5隻に拿捕されそうになったため、火薬に銃弾を打ち込んで壮大な自爆をしようとするのだが、同行していた同級生の親父に止められる。そのうち海軍が軍艦をよこして助けてくれたので九死に一生を得た、と思ったらやっぱり制空権はドイツ軍にあったので戦闘機に攻撃されて今度こそ本当に死にかけ、禿親父はシェルショックの症状を呈すのだった。


なんとかレニングラードに帰還した禿は、激烈な体験をしたせいで、男を作って出て行った元女房が行くところがない、ということで自分の実家のベッドで寝ているところへ帰ってきて、「わたしが悪いの。でもいまでもあの人のことが忘れられないの」と、極悪非道な言葉を吐きかけ、涙をながす元女房を許すことができるのだった。


映画で出てくるのは最大10機に満たない戦闘機と数門の高射砲(にしては口径が大きすぎるような気がする)と軍艦3,4隻。このうち活躍しているのは戦闘機だけ。ドイツ軍もソ連軍もいったいどこを狙って攻撃しているのかわからないし、パイロットの顔が見えるんじゃないかと思うほどの低空飛行なのに、落とした爆弾が見えない。なのにバンバン吹き飛ばされるかわいそうな海軍さん。


この禿親父の見た目がアドルフ・ヒトラーなのはいったいどういう意図が隠されているのか、最後までわからなかった。


一番よかったのは、最初と最後に出てくるレニングラードの町の様子。暗くて汚くて住人がどうしようもなく駄目な感じ。あんなのに負けたのか、ドイツ軍。