ハート・アタッカー 【Battle for Haditha :2007】

ひどい邦題だ。2007年の映画だから、どう考えたってビグローの『ハート・ロッカー』に便乗したとしか思えん。ということでぱちもん映画だと思っていたら全然ちがった。『Battle for Haditha』という原題のとおり、イラクのハディーシャという町で2005年に起こった海兵隊による住民の虐殺を扱った映画だった。


映像はあちらの映画にしてはかなり明るい画面で、いわゆるモキュメンタリーという感じで手振れのおおい撮影。なんとなくTV映画?と思ったくらい、普通の映画とは画質が違う。


ハンヴィーの車列が通過するのにあわせて道端に埋めた爆弾で吹き飛ばすテロがきっかけで、海兵隊員が1人死亡2人負傷という被害が出たかr、興奮するのは分かるような気がするけれど、あれはない。まったく軍隊の体をなしていない。かっと来た伍長がたまたま通りがかった車に乗っていたイラク人の男5人を射殺するところから虐殺が始まっている。最初っから現場で一番階級の高い海兵隊員が常軌を逸した行動を取ってしまうので、後に続く他の隊員もその辺の一般住民の老女子どもあたりをガンガン殺してなんとも思っていない。すねた感じのインテリの兵士がいて、なにバカなことをやってるんだ、などと突っ込んでくれたりしない。


一丸となって虐殺を行っている。しかも当人たちはきっちりテロリストを追いかけていると思い込んでいるのでどうしようもない。基地から指令を出している軍人は現場の報告とヘリから送られるリアルタイムの映像を見ているが、住宅の中にはいった兵士がとりあえずドアに向かって連射し、グレネードを放り込み、その後部屋に入って動くものを射殺して行く。その様子までは分からないので、ちゃんとテロリストを追いかけていると思っている。


やっぱり現場には大卒くらいの下士官をかならずつけてもらわないと困ると思った。チンピラのような、もともと脳味噌が満足に詰まっていない海兵隊員がストレスの所為で不眠症になったまま医師にかかることも許されずに現場にでてくる。恐ろしいのなんの。ああいう連中がいるのかと思うと沖縄がいやがるのは当たり前だとしか言えん、


この事件、米軍の発表では海兵隊に殺された住民の殆どがテロリストに殺されたことになっており、のこりの犠牲者に関してはなんとこともあろうにテロリストだったということにされており、海兵隊には一切の落ち度はなかったということになっていた。現地の人間が撮影したビデオがあったから、後になって虐殺が判明したけれど、こういう話をきくと堂考えてもほかに同じ様な虐殺が隠されているとしか思えない。