予習のために買ってきた。


母の発達 (河出文庫―文芸コレクション)

母の発達 (河出文庫―文芸コレクション)




帰りの電車のなかで『母の縮小』を読み始めた。ワロタ。


どこぞで見たことのあるような世界。小さくなったり分裂したり、というのはまんま子供の遊びのような世界。こういうのは好き。ちょうど私のオツムのレベルにぴったり。


ただ母と娘の関係の所為で非常に苦しい。ドロドロなんていう言葉では迫力が足りないくらい恐ろしい世界じゃないのかな、と。それを子供の遊びのような文章・内容で書いてあるような気がする。


無理やり気味だけども、大蟻食せんせの講義に結びつけるとなんちゅうかあのゴヤの一見稚拙な感じにも見える『マドリード、1808年5月3日』みたいなもんかもしれんの。こうでもしないと書けないくらい捻じれて苦しくて恐ろしい関係。


という全体の話とは別に、細かいところがツボ。

――まあ今日も早いこと。好きなようにしてええのよ。それでよければねえ。


その声がプラスチックの塊のようにこっちへ転がってくるのがなぜか、はっきりと見えた。

『母の発達』p15




とか、なんとのう分ったりする。私のばあいは見えなかったけれども自分の発した言葉が手のひらでコロコロ転がすことが出来た。へんてこな角ばった形で、言葉によって形、感触が違った。


ほかには頭痛の描写や視界が歪んでいく様子なんかも、なぜかは分らないけれども「ああわかるわぁ、それ」という感じで素直に受け取れることが出来たり。


チビ母が後半反撃に出るあたりも妙にリアルさを感じたりした。


笙野頼子ってこんなんやったっけ?