なんだかすごく久しぶりに使った気がする[大蟻食!]タグですが…


帰りに本日発売のこれを買ってきた。


ミノタウロス (講談社文庫)

ミノタウロス (講談社文庫)




中身もおんなじだしカバーだって単行本と同じデザインだし(この影山徹さんの絵、いいよなぁ)、それだけなら特に必要ないんだけども、解説が岡和田晃id:Thornさんね)って聞きゃ読まねえわけにはいかねぇ。読むだけなら立ち読みでもいいんだけど、解説長いってどこかで読んだもんで、だったら買わないわけにはいかねぇ。で、買って解説読んださ真っ先に。


まったく鬱陶しいゼ。なんだこりゃ。


それでなくても積読多いのに、こんなもん読んじまったらこの『ミノタウロス』はもちろん佐藤亜紀のあれこれ読みなおさなきゃいけなくなっちまうだろが。それだけでもしんどいのに、イサーク・バーベリ(聞いたことねーww)だのオルハン・パムクだのヴァージニア・ウルフだのいちいち面白そうで困るんですけど。小説家だけじゃなくってロシア革命そのものも面白そうだし(ただし神話には手をださんぞっワシャ)。


正直、量が多いどころかもっと読みたいくらい面白い解説でした。もっと正直に言うと最後のあたりはいまんとこ理解できてませんが、じっくり読み返してじっくり考えれば自分なりに何か出てきそうな気はします(在り様ってあたり)。でもなかなか読めねえんだなぁ、ふう。


一カ所だけツッコミ。


だからこそ、ミハイロフカはマフノ運動の中心地として、革命の成立とその崩壊の過程の中枢を担う場所ではならなかったし、(以下略

(『ミノタウロス』解説 p376)




微妙におかしい。誤植かな?ひょっとしたらあってるのに私が理解できてないだけかもしれんですが。


以下は、この解説読んでて思ったことのメモ。
「視点がその時代に没入し切って…」というオルハン・パムクとの対談の話。思い出したのが『クローバーフィールド』についての町山智浩さんの話。よくある怪獣映画だけど、視点が一般市民で、彼らはこれと言って戦うための武器も方法ももたず、それどころかいったい何が起こってるのかという状況を俯瞰できるような情報すら持ってない状態ってところが新しいというやつ。そういや『下りの船』も似たような感じだったな。ホロコーストの映画をたくさん見てて、いつも「なんで逃げずにだまって撃ち殺されてるんだ」と思っていたけど、あれ読んでから変わってしまった。視点の所為なのか?あれも視点になんか仕掛けがあったのか?


あと『バーチウッド』の名前が出てたので思い出した。あの本もずっと引っかかってて、もっかい読みなおさないといけないと思ってるんだけども(再読したら分るかっていうと、あんま自信ないけど)。


あれで頭に焼きついてるのが飢饉の描写。ガブリエルが自身のぶっ壊れた家族のことでグネグネしているうちに、気が付いたら国全体が、バーチウッドを取り巻く世界が崩壊しててエライことになってる。でも最後はやっぱり血族間の煮詰まりきった話に戻っていく。どえりゃあ嵐の中で親子喧嘩みたいな。“はよ逃げな二人とも死ぬで、勝ち負けどころちゃうやん決闘”みたいな。でも『ミノタウロス』のヴァシリは殆ど空っぽな感じなのよね、おなじ大嵐の中にいても。


はぁ、読み直すのね、やっぱり。。。