ときどき雨。

駅前のスーパー(少々高くて生鮮食品の鮮度がいまいち)で晩ごはんその他を買って外に出た途端雨が降ってきた。折りたたみ傘は持っているけどカバンの中だし、買い物が二袋あったし、それほど強い雨ではなかったのでそのまま早足で帰ろうとしたら、急に雨脚が強くなった(やっぱな!)。しかし半分のところまできていたし坂を下るだけなのでそのまま濡れながら帰った。

部屋に入る前に集合ポストをあけるとメール便が入っていた。部屋に戻って服を脱ぎメール便を開けてみると中には黒い四角い板のようなものがひとつ、それだけぽつんと入っていた。大きさはDVDのケースくらいで艶があった。よく見ると薄い側面にそってぐるっと一周筋がはいっていたので爪で抉るとぱかっと開いた。

中にはハガキくらいの紙が一枚だけ入っていた。ケースの外側は真っ黒だったけど中はやわらかそうな真っ赤な布が張ってあって、よく見ると外側も漆塗りで偉く高そうだった。でも中には紙が一枚。

そのハガキ様の紙には筆で『殺害許可証』と書いてあり、その左には僕の名前と『零零三号』とあった。これっていわゆるひとつの殺しのライセンスだよなぁ。

ケースも高価そうだし、よく見ると蓋の裏にはあのちょう有名な御紋がごくちいさく控えめに(とはいっても金だった)しるしてあったし、そういえば紙だって結構しっかりした和紙だったし、なにより紙の下のほうにサインがあった。

ひらがなで『あいこ』と。いちおう筆で書いてるけど他の字に比べて明らかに下手だし、なにより『あ』が鏡文字だから、たぶん本物だ。冗談にしては手が込みすぎだ。



明日から歩きながらタバコ吸ってるやつでも殺して回るかな。ばっちいけどしょうがない、あの子に頼まれりゃな。でもほんとに警察に捕まらないのかなぁ。微妙…

しかし前任の零零三号はどうしたんだろ。まさか出世して内勤になったとか、めでたく定年を迎えたとかないよなぁ。やっぱ殉職してるんだろうなぁ。俺も死ぬのかぁ。やだなぁ。