かいじゅうたちのいるところ 【Where the Wild Things Are:2009】

これを見てきた。


かいじゅうたちのいるところ(音が出ます)


むう。原作はかなり有名な絵本らしいけれど、らしい、といったところからも分かるように読んでいない。



いやぁ、序盤主人公の少年が暴れている様子を見ただけで実はぐったりしていた。結構不安定な状況に置かれている、というのは分かるんだけどもそれにしたってあれは酷い。やり過ぎ。でもしょうがないんだよね、というのもアリアリで、そういうのを見るのは痛々しくて辛かった。


あれは多動症とかアスペルガー症候群とか(暴れたりしないらしいので訂正)学習障害とかなんかそういう病名が付いていそうな種類のもので、単純にバカ!では片づけられないので苦しいのだった。


で、行き詰まると暴れまわり、さらに行き詰ると世界の終りであるかのような悲愴な様子で泣いてしまうような少年マックスが、母子・家族関係で行き詰って母親に噛みついて“アウトオブコントロール”と罵られてさらなるショックを受けて家を飛び出して行きついたところに放置してあったヨットに乗って海へ出てみたら思いのほか上手く操舵できてしまったため沖合に出てしまい、夜になって嵐に押し流されるようにして遠く離れた孤島にたどり着く。


で、陸に上がってみたところ、かいじゅうたちが何やら騒がしくしていたので藪からこっそり覗いて様子を見てみると、一人暴れていたのはそこには見た目はかいじゅうながら、言ってることやってることが自分にそっくりなかわいそうなかいじゅうキャロルだったので、つい飛び込んでキャロルに加勢してしまう。で、その勢いのままなぜか王様ということになったので、かいじゅうたちに色々と指示を出しながら共同生活を始めてしまうのだった。


ん。なんでもできる王様だって、孤独はどうにもならんのだ。ましてマックスは唯の少年だしね。


ということでせっかく仲良くなったキャロルからも責められてしまうんだけど、責められるというか喰われそうになるので大変恐ろしい。なにせかいじゅうたちはみな、ひと殴りするだけで巨木に穴をぶち空けるようなパワーを持っているし、中でもキャロルはマックスに似て聞かん坊で暴れん坊で、まわりのかいじゅうたちからも恐れられているようなやつだし、声がソプラノ親分(ジェームズ・ギャンドルフィーニ)なんだもの。こええよ。


ま、最後はいちおうのハッピーエンドになるんだけども、うーん。王様マックスも抑えようがないくらい暴れ哀しむキャロルにむかって“アウトオブコントロール”って言っちゃうんだな。でもそれで何かが変わったわけでもなさそう。マックスもキャロルもあんま成長してないというか、どうにもならない巨大な敵を相手だって分かってしゅーんとしてお終い、みたいな感じ。大人になるってこういうことなの?


お話は、原作の絵本とはまったく違うらしい。でもまあいい。かいじゅうたちがものすごくよくできている。動物というかかいじゅうだけあって目脂とか鼻水とかもちゃんとあるし、動きがすごい。どーーーーん!て飛ぶんだぜ?巨体で体当たりすると、なんでもかんでも吹っ飛ばせるんだぜ?爪が鋭くて木の幹にマーキングなんて朝飯前なんだ。


でも一番すごいと思ったのは表情。なんか、前から二列目で近かった所為か、すげえ顔がでかく見えたんだけど、そのでっかい顔の表情があまりに自然に動くので、見ているだけでなんかクラクラしてしまった。あれはすごい。


オウムらしいかいじゅうの腕が一本引っこ抜かれたんだけど、そのとき抜けた穴から砂がサラサラーってこぼれ落ちる。これ、どっかで見たような気がするんですが。かなり強い既視感があるんですが、だれかご存知ありませんかー?


ということで、面白いけれどしんどい映画でございました。あのきぐるみすげえ。


で、そのあとはいつものように宴会へ突入。わたくし初“バールのようなもの”でございました。近いしなかなか美味しかったです。はい。


ただ、私たちのテーブルだけワインの消費量が異常に速い。よその3倍はあります。べつにテーブルが赤いわけじゃないんですけどね。あと肉類が届いたときのあの四方八方からナイフとフォークが襲いかかってあっちゅうまに平らげられていく様子は、やっぱりおかしい。普通じゃない。


ということで、あれ?ひょっとしてこのテーブルは孤島なんじゃないの?この面子はひょっとしてかいじゅうじゃないのか?と。いまさらながら、そのように思ったのでした。


めずらしく哲也先生も大量にアルコールを摂取されたようでいろいろ聞きました。独身時代に戻りたい(超意訳ですけど)とか意外でしたわ。あとワチコさんのスパッツ姿をみてクラっときたなんてこともおっしゃってました。なにか危機的な状況におられるんでしょうか(ぬいぐるみと会話できる方ですからあの映画はいつも以上に堪えたのかもしれませんね)。すこし心配になりました。はい。


飲み過ぎには注意しましょう…