カールじいさんの空飛ぶ家 【Up:2009】

たまにはいい邦題が付くんだな。Upじゃいまいちだわ。


つうことで見てきた。


カールじいさんの空飛ぶ家(carl-gsanて、あんた…)


いやぁまいりました。おもしれえし、うめえ。きれいだし。


序盤で、少年カールが少女エリーとであって結婚して幸せに暮らして子供諦めてからまた幸せに暮らして年老いてエリー婆さんが先に逝ってしまう。これ一気にやるんだけどもうめええ。わたくし結婚式あたりですでにぎゅぎゅううっと鷲掴みにされてました、はい。アカデミー賞とった『つみきのいえ』って見てないけど似てるかもね。


で、気が付くと二人の木造のおうちは巨大なビルに囲まれていてスーツ来たグラサンからソフトな地上げにあっていてちょっとしたトラブルから老人ホームに放り込まれることが決定したカールじいさんが風船使ってうちごと飛び立つ。


ガラスに写りこんだ影とか鏡にうつるカール爺さんの顔とかすごく自然。写りこんでるのはアニメのキャラクターなんだけど。意識的に多用してる気がしたけど気のせいかな。あと物も人も物理的に(とはいっても直感だけど)自然な動きをしている。なんで、キャラクターはもろアニメなんだけどすぐになじんでくる。


そうそう。『カンフーパンダ』見たときだったか、物の描写というか質感が異常にリアルでびっくりした記憶があるけどもこの映画でもその点は凄まじくリアルだった。あれね、蓄積がモロに効きますねCGって手法は。科学技術だなと実感しました。服やソファの織目や靴の汚れ、木造のお家だから木でできてるんだけど板の質感もすげえフルCGアニメなんで画面一面そういう画で埋め尽くされてるわけで(そういやフルCGアニメの記念すべき作品『トイストーリー』の続編『トイストーリー3』の予告してたな)、これなんかすごかった。年をとった爺さんの話だから古くなった物もいっぱいあって、そいつらも古びた感じが上手く出ていて、なんつうかもうすごい。すごい。


ストーリーもうめえよ。ちょっとした小道具なんかも自然に仕込まれていてうめえ。あ、これはストーリーじゃなくてプロット?ま、どっちでもいいわ、とにかく上手い。


あと犬ね。毛の感じとかすごい。あの3Dデータに人工知能乗っけてPCで飼うとかやってみたい。これほど犬が活躍(してねえけど)した映画は観たことないな。『ボルト』見逃したけどあれは1匹だろうし、数十匹でてきたこの映画には勝てんだろう。


そうそう、犬を飼っていた飼い主のキャラクターもすごくよくできてて、そりゃ『アバター』じゃ勝ち目ないわとか思った。洞窟に飛行船だぜ?冒険家に憧れていた少年が爺になったのに、その冒険家のほうがさらに年上の爺で出てくるとか、場所も場所だし年も年なんでもはやこの世のものとは思えないやばい存在になってるし、妄念に取りつかれた感じがこええ。


この映画子供向けで、今日も大半が親子連れで子供だらけだった。そんで結構うけていた。とくにでぶ少年のラッセルが失敗したところなんかは年が近いせいか盛大にうけとったし(俺も恥ずかしい位わらってしまったけど年甲斐もなく。ねーよそんなもん、ケッ!)、こんなのを子供のときに見られたあいつらは幸せもんだなぁと思った。


で、だ。この超高齢妄念爺(殆ど妖怪)の最期がね。ありゃどう見たって助からん。風船数個持ってたけど助からん。子供向けだし、『カンフーパンダ』の悪役と同様、エンドクレジットでその後が映るかなと思って見ていたけど出てこなかった。やっぱ助からんかった。怪鳥がいたのは本当だったのだし、悪いことはしてないんだけどなぁ、とか思ってちょっと可哀想だった。あのキチガイが助かってほしいと思ってたのは子供とかじゃなくて俺だったという…。まあその代わりというか代わりでもないか、ドーベルマンが老人ホームかどこかで介護犬になっていたのでいいや。


あの場所はパタゴニアなのかな。あの平べったい岩山の上を朝焼けを背景に家を引っ張って歩くカール爺さんのシルエット。すごくきれいだった。


ということで、ストーリー展開画面すべて素晴らしくしかも1時間45分。エンドクレジットまで手が込んでいて素晴らしい映画でした(『イングロリアス・バスターズ』の劇中映画があの時代のものらしくないっというツッコミがあったけど、この映画のなかのニュース映画はいかにも当時のものっぽかったねぇ)。ふう、いいもんみた。



追記:アメリカの犬ってリスみると超興奮するの?確かにあっちのリスってその辺うろちょろしてるっぽいけど。あの辺のギャグがよくわからなかった。