スクリューボール・コメディ ロシアン・ブルー

初めて宝塚歌劇というものを見た。


すげえ。色々とすげえ。劇場もなかなかだけど観客がすげえ。


春日野八千代さんすげえ。


ロシア革命20周年記念に劇団を率いてモスクワ入りをしたアメリカの若き下院議員とそれを迎え撃つ鉄の女と呼ばれるロシアの女性官僚のお話。


スクリューボールということで、ストレートなどコメディではなく、軽い笑いが散りばめられていた模様(模様、というのはそもそもの宝塚歌劇を知らないので)。


色々と対立はしていたものの、お互いもともとは同じ魔法使いの一族だということで丸く収まる。分からないながらもこまかい突っ込みどころは色々とあった。とかそういうお話はどうでもよかった。やっぱ濃い世界そのものが楽しかったのだった。ん。


後半のショー「ラテン・ロマンチカ RIO DE BRAVO!!」は、正直なところ全く期待していなかったんだけど、これがなかなかよいのだった。


とにかく音楽がお芝居のときよりもずっと楽しい。2階席だったのでオーケストラピットが見えたんだけどスキンヘッドのドラムがノリノリだったし、それまで始終無表情で演奏していたキーボード?の女性も時折笑顔を見せたりしていたし。


というか後半のかなりの部分、私はこのキーボードの女性を眺めていたのだった。7分袖の真っ黒でシンプルな服にストレートの黒髪で化粧っ気がまったくない人だった。このひとがずーっと真剣に楽譜をめくりつつ演奏しているのをぼーっと見ていた。途中、出番がなくなったのか、両腕を組んだまま目を閉じてしまったので、ああ終わったのかなと思っていたら最後にまた演奏を始めた。そのときの曲が好きだったのか舞台の上の様子が楽しかったのか演奏をとちったのか指揮者がボンボンを振っていたからなのか、原因がわからないけれど、ニコっと笑ったのを見て惚れた。


でも次の瞬間醒めてしまった。すぐ後ろでクラリネットだかオーボエだかをこれまた無表情で吹いていた、糖尿病の所為でかえってがりがりに痩せちゃいました、みたいなおっさんと言葉を交わしたあとに、彼女が笑ったのを見て醒めた!


とかいうのは冗談ですが、楽しい経験でございました。


これを書くのにちょっとみせてもらった『宝塚 おとめ』という雑誌で春日野八千代さんの存在を初めて知ったのだけど、すげえ。93歳で現役タカラジェンヌらしい。NHKスペシャルは彼女の日常のドキュメンタリー番組を作るべき!いますぐ!