12人の怒れる男 【12】

これを見た。


12人の怒れる男 [DVD]

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1957年、シドニー・ルメット監督ヘンリー・フォンダ主演の“12人の怒れる男 【12 Angry Men】”
の舞台を現代のロシア(モスクワとチェチェン)に置き換えたリメイク(漢字で十二人なのね、オリジナルの邦題は。区別するためにアラビア数字にしたんだろうな)。



オリジナルが96分だったのに対してこれは159分の長尺。にも拘らず間延びしていないというか、緊張感が続いていた。オリジナルではどうだったか忘れたけど、大筋はまったく同じだと思う。12人の陪審員のうち9人までが自身の背景・物語を語り、彼ら一人一人の演技がとても良いので時間の長さが苦にならない。顔もいい。すごくいい。


オリジナルではヘンリー・フォンダにあたる一人無罪を主張したハゲの技術者はロシア人というより仕立て屋やってるフランス人ぽくて面白いし、ねずみっぽい(ねずみ男ではない)旅芸人もいいし、墓守の優男(へなちょこアラン・ドロンみたいな)もいいし、TV局の御曹司(スパイダーマンに出てなかったっけ?)のダメさ加減もいいし、ナイフ使いの外科医もタクシードライバー(Aチームにいなかったかな?)もいい。デイウォッチのザブロンはザブロンらしく裏事情に通じているっぽいところも面白い。というか善人の役は無理なのかな、あの顔は。


陪審員の些細な言葉や態度に対してことごとく「面白い」と、彼らの個性というか人間そのものを味わうかのようにうんうんと頷いているユダヤ人の爺さんもよかった。


でもワロタのはちょっとオツムが弱い感じ(本人は頭にチーズは詰まってないと言っている)のおじさんのスーツケースにマイ便座が入っていたところ。ああ、この本は本当のことを言ってたのだなと、感激した。


ロシアにおけるニタリノフの便座について (新潮文庫)

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でも陪審員長をやっていた元将校が一番格好いい。そりゃポスターに使うわ、と。結局個人的な情報が何もなかったのはこの元将校の対面にいた爺さんだけだった。一人だけ残されると気になるんだけどなぁ。ま、いいや。


ストーリーは現代のロシアっぽい味付けがされていて、そこらへんもよかった。なんだかんだいってもハッピーエンドだし、これは見てよかった。ん。


しかし出ている役者がことごとくどこかで見たような、誰か他の役者に似ている顔をしていたのに、ひとりも名前を思い出せないので困った。そっくりさん、というわけじゃないんだけど。