レボリューショナリー・ロード 【Revolutionary Road 】

見てきた(クソな邦題は略)。


一曲流れる間に出会って結婚し、すぐに夫婦喧嘩が始まる。これがめちゃくちゃ面白い。その後も軽いものから超弩級な喧嘩まで、かなり面白かった。声が出てしまいました。


なんというか、つい先日「男と女の違い」をテーマにした番組をNHKでやっていたけれど、かなり当てはまる、そんな喧嘩だった。確かによくある。


サム・メンデスケイト・ウィンスレットは夫婦らしい。よくまあリアル妻をあんな風に撮ることができたな。とか余計なことを思ったりした。


最初、ケイトもだいぶ老けたというか冴えない感じになってしまったな、リアルだななどと思っていたけど、パリ行きを思いついてからが冗談のように奇麗に撮られてて、ああ計算づくなのねと。


ケイトもよかったけどディカプリオもなかなかよい演技。ただやっぱり童顔なのね。背広着ててもどこかちぐはぐな感じがぬぐえない。周りにいた同僚や上司、お隣さんがもうほんっとーにその辺の草臥れたおっさんばかりだったので余計に目立つ。例外は社長(本部長?)のおっさん。Mr.インクレディブルのよう。マッチョで筋肉馬鹿だと言われていたこの上司が肉をガツガツ喰ってるところもかなりうけた。ただ、終盤の超弩級の喧嘩のとき、これもかなり笑ったんだけども、その直後のあの泣き顔は、子役時代を髣髴とさせた。真骨頂は変わらないのだ。


ケイトが窓辺に立ち外を眺める。ガラスに映った鮮やかな緑と、それを通して映るケイトの顔。その間に広がる染み。右方向へ歩いて画面から外れ、絨毯に落ちた染みだけが明るい日差しの中に残される。ここで終わってもよかったんじゃないかと思ったり。昨日の『ジェシー・ジェームズの暗殺』はしょうがないかなと思ったけど、これはここで終わってもいい。


音楽もよかったけど、サム・メンデスの映画ではいつも同じ気がする。『アメリカン・ビューティー』か『ジャー・ヘッド』どっちか忘れたけれど、そっくりだった(というか全部トーマス・ニューマンなのね。ニューマンで映画音楽というと私はマイケル・レーマンが監督した『ヘザース』のデヴィッド・ニューマンを思い出すんだけど、兄弟らしい。おもしろいな)。


そうそう。似ているといえば数学のPhDを持っているけど電気療法ですっかり数学を忘れてしまったキャシー・ベイツの息子が、どことなく『ロード・トゥ・パーディション』のジュード・ロウに似ている。ただ、本当にジュードだったら綺麗で目立ちすぎたかもしれないけど。


ほとんどセリフもなく、出番もなかったおっさんが全部持って行ったのには驚いた。あの目、ただものではない。


そう。一年二年くらい先延ばしにしたってよかったのにね。硬直すると視野狭窄になるのか、それともそんくらい追い詰められていたということなのか。行くところも戻るところもなし。なんだよ『アメリカン・サイコ』といっしょじゃん。1961年の小説で、すでにこれか。


追記:今わかった!夫婦円満を長く続ける秘訣だったのだ、補聴器のミュート。最後に解答を用意してたのね、サム。