夜は短し歩けよ乙女
登美彦ぼっちゃんのご結婚のご祝儀代りに購入したこれを読んだ。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/12/25
- メディア: 文庫
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やっぱ文庫は読みやすいな。
お話は全部で4つ。どれも似たような感じだけど、じりじりと進展していく先輩と黒髪の乙女の関係。まさに外堀をせっせと一人で、しかも素手で埋めているかのようなスローペース。
どのような狭い場所でもするりと入り込める三階建ての京福電鉄車両とか偽電気ブランに謎の李白翁。吹き流しが結構効果的。三階建て車両は夢でみるような不思議な存在(『千と千尋の神隠し』の湯屋のような)で、たぶん内部は外から見たサイズでは考えられないほど広くなっている。明らかにあっちの世界だ。それがいい。明かりも橙色ってのも。おかあちゃーん。まあ、京都のせんまい家も似たようなもんだけども。
糺の森も大活躍だし。三日間の古書市では必ず一度は土砂降りの夕立ちがあって、古本屋のおっちゃんは慣れた手つきでビニールを掛けてやり過ごすんだけども、まんま書かれていて笑った。だがしかし。俺様が生まれた神聖な糺の森をあのような怪しい空間にしてしまうとは!許さん…もっともっと光を。
たくさん笑ったんだけども、声を上げて笑ったのは二か所。「できることからコツコツと」というところと、乙女を誘って出かける前に、服を洗って乾かすのに数時間。というところ。ぎゃははははー!久しぶりに声出して笑いました。
『四畳半神話大系』と同じで、最後には病というか試練が待っているのだ。そこもまた妙なリアルさがあってよかった。