ストレンヂア 無皇刃譚 【Sword of the Stranger】

これを見ました…


ストレンヂア -無皇刃譚- 通常版 [DVD]

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…ふう


…ふう


ぐぁああああああ!


見てすんげー後悔した、なんじゃこりゃあああ!


アホだ俺。なんで映画館でこれを見なかったのだ。たしか伊藤くんところでイイ!って書かれてて、でも調べると近くでは上映してなかったから諦めたんだけども、これは見ておくべきだった。激しく後悔している。
とはいえ、最近は映画館で他のバカ客にムカつくことも多いので、小さい画面とは言えがっちり自分用にチューンした環境で気持ちよく見たほうがよかったのかもしれないけど。


これはとても面白かった。すごい。今年見た中でNo.1にしようかな、どうしようかな、他人の評価気にしてもしょうがないしな、俺の基準だし、いいよな。決めてしまおう。今年見た中でいちばん好き。最高。ベスト。A No.1!おいしくてよだれがでました。



孤児・仔太郎と飛丸(柴犬なの。むっはー!)の逃亡コンビに、刀を封印しているところを見るとどうやらよからぬ過去を持っている凄腕の浪人・名無し(!)、見るからに強欲な赤池の殿様と野心が溢れ出ている重臣虎杖(いたどり)、さらにはその赤池国に客人としてやってきた妖しげな明国の一団。これらがみんなして一点に向かって収束していく、シンプルなお話。すごくいい。


これを作った人たち(西獣を見てハガレンに似ていると思ったら同じBonesでした)にとってはうれしくない可能性もあるけど、書いてしまおう。これは間違いなく黒澤映画だ。それも正統なというかかなり出来がいい映画だ。昨今、誰かが金に困ったのか、企画に詰まったのか知らないけれど、粗製乱造されているとしか思えん(ごめんね、まったく見てないの。見てないけど言っちゃうよ)黒澤映画のリメイクを作った連中はこの映画を見たら恥ずかしくて首を吊るしかないんじゃないだろうか(というかその程度の恥を知っていれば、実際はリメイクなど恐ろしくて作らんだろうが…)。


怒られるかもしれないけど、このお話じたいはそれこそ黒澤を始めとした数々の映画から要素を集めて組み立てた(具体例が書けませんです)、どこかで見たような、既視感たっぷりな筋なんだけど、だからといってダメなわけじゃなく、それどころかここまでバランスよく作られたら面白いに決まってるじゃないかと。脚本書いた人や監督はいっぱい見てるんだろうな映画。


主役が“名無し”ってのがいかにもだし、明国の連中が、日本人が見たことのないような武器や技を駆使する一騎当千のテダレ揃いだったり、両陣営きっての凄腕がともにそれぞれの世界ではハミゴ赤毛vs西獣)だったところなんかもすごく好き。雷蔵か!


回想シーンも必要最小限でうまくまとめられていたし、ラストシーンもどちらとも取れるいい塩梅に描かれていたし、最初から最後までよく出来ています。そのほかにも、殺陣がとてもいいのです。腕の立つ連中がそろってるので、とても動きが速いにも関わらず、僕がここでいつも、これでもかとしつこく書いているような、カメラワーク(アニメだから視点かな?)を矢鱈めったら動かしてごまかすような糞演出をしていない。どういうのかというとこういうの(音楽がひどいのでミュートでどうぞ)





板野サーカスというのかな。今では凄く嫌い。


ストレンヂア』の殺陣は斬り合う二人の相対的な関係がちゃんと維持されているので、見ていてイライラしない。


ともかく、すっごいいい。大蟻食先生はご覧になったかな?伊藤くんちで紹介されてたから見ておられるかもしれない。まだなら是非どうぞ。新海誠はたしかにチマチマしてます。その対極、とまでは言いませんが面白いですよー