生活と芸術―アーツ & クラフツ展 ウィリアム・モリスから民芸まで

昨日、『ウォンテッド』を見る前に岡崎の京都国立近代美術館で始まった『ARTS & CRAFTS from MORRIS to MINGEI』に行った。


まぁ、なんだ、特にどうということはなかった。イギリスではウィリアム・モリスという人が、日本では柳宋悦が、それぞれ独自に、産業革命後に急速に姿を消していった日常生活で使用されていた工芸品に美術的な価値を見出したということで、陶磁器からテキスタイル、木工、金工といろんな工芸品が展示されていた。面白いと言えば面白いけれど。


売りは順路の最後にある柳宋悦たちが建てたという「三国荘の応接室」を復元したもの。確かに古い写真通りのものが再現されていて、あれはなかなか凄かった。なんだ、やっぱり面白かったんだな。ちょっと忘れていた。


ただ、部屋そのものには上がれないので、テーブルの上にある小物や床の間のものは見えづらいのが難点。というか致命的。でも雰囲気は良くわかる。あれは日本じゃない。


大っざっぱに言うとアーツ&クラフツというのは、一度日常生活のなかから絶滅しかけた各国の工芸品をもう一度、という運動であり、意識的に産業革命以前に戻ろうということであるため、再現された工芸品には実際それらが何気なく使われていた時代のものよりもそれぞれの国や民族が持つ特色(キュレータはNATIONAL IDENTITYとか言っていた)が色濃く出ている。そういうものばかりで埋め尽くされた部屋は私にはもはや日本とは感じられなかった。


展示品のなかでこれは面白いなと思ったものにはことごとく同じ人物の名前が書かれていた。その名は黒田辰秋。いいと思ったものがすべてこのたっつあんの作品だったので笑ってしまった。どんだけはまってんだか俺。