ウォンテッド 【Wanted】

これを見た。


『ウォンテッド』 CHOOSE YOUR DESTINY!


こんなあほな映画ちょっと記憶にありません


見終わったらあたま痛くなってお腹がぐるぐるぐるぐるいうとったわ、ほんま。ここまであほやと中てられるという現象が起こるのね。要するに面白かったんですけど、すごく…(´Д`*)


もうね、最初どうなることかと思いましたよ。“なんでおっさんオリンピックでとらんのじゃワレ!あれか?なにか?1000年の長きにわたる秘密結社やさかい超人的な能力もってても表にはでぇへんのか?それとも『マトリックス』系でいくんか?それとも宇宙人つう落ちか?どないやねん、ホンマ”と思っていたら、この映画はとにかくそういうことができる世界やねん!という素晴らしく分かりやすい理由らしい。あほは無理せんでそのまんまあほでええ。


もうお涙ちょうだいなんてのは本当にとってつけたような程度。やりたかったのは弾丸の軌道を曲げることと特攻シーンだけ。あほすぎて心地よい。ひょっとしたら『シューテムアップ』も似たようなもんだろうか。
だとしたら見なければなるまい。


主役は見たことない俳優ジェームズ・マカヴォイ(James McAvoy)。冒頭、ピザばばあの上司にパニックアタック直前まで追い詰められたときのあの顔、あの青筋、あれで選ばれたのかと思った。それくらい凄い顔だったけど、どうやらそんなことはないみたい。あとあといいところがあった(たぶん)。しかしトランスフォーマー』のShia LaBeoufに似ている気がしたのは直前の『イーグル・アイ』の予告で顔を見たからだけじゃないと思う。似てる。ああいうのがはやりなんだろうか。もうちょい無理すると『ダイ・ハード4.0』のJustin Longも似ている。とりあえずへなちょこな雰囲気が。


アンジェリーナ・ジョリーはちょっとやせすぎ。双子に精気を吸い取られ過ぎ。でもいい。ドSなアンジーはさ・い・こ・う!俺も殴って〜踏みつけて〜


っと。血迷った。二人で別々の車を運転してマフィアのデブボスらしいおっさんを殺ったあの曲芸はエロい。あと傷の回復のための蝋を溶かしたようなあのへんな浴槽。あれに浸かってるウェスリーを見下ろすあの顔もたまらんばい。


そうな、あれは、あの浴槽のシステムは面白い。最後はやっぱりざざーっと場面を繋いだだけではあったけど、これだけ痛い思いをして成長させられた主人公はあんまいない。あれはいい。とにかく頭はからっぽで痛い目にあって体で覚える(だいたいあんな話信じるか。そして終盤のあれも信じるか?)。


理屈はどうでもいいってのはそもそも暗殺対象の選択(宣託?)からして凄い。自働織機で織られる無地の布にできる縦糸と横糸の目が暗号になってる。ただの目じゃなくて、あれは普通に考えれば偶然起こるエラーによるものなんだけどちゃんと0or1の情報であってローマ字に変換され、しかもちゃんと実在の人物の名前になってる。もしあれが偶然でないとしたらいつどの縦糸が上・下どっちに分かれているかという情報があの織機に組み込まれているわけで、そうなればわざわざ織られた布を見る必要はない。そのデータを見ればいい。これは西陣織りならば「紋紙」というところどころにパンチであけたような穴が開いている厚手のボール紙にあたる。もろ昔のSFで出てきたようなプログラム。というわけで21世紀の西陣では紋紙は消えフロッピーディスクに代わってる。というか、バッタンバッタンと帯を織る音を聞きながら杼(ひぃ)=例のシャトルをおもちゃに育った人間としてはあの工場をみていろいろと思いだしただけでも十分おもしろい映画だったわけでございます。匂いまで思い出したわ。模様のところになると右手に並べてある横糸(金とか銀は箔状になってる)をしゅっと抜いてさっと通す。そこが技。


失敗したら二度と戻せない。織り終わったあとにそこだけを直す職人さんがいた。素人には見分けがつかないけど見る人が見ればわかるのでどうしても価格が落ちる。失敗はそのまま手取りに反映する。失敗してもスピードあげて数をこなす人とゆっくりだけど完璧に織る人(袋帯とか高い帯がいい)、性格によっていろいろ。


おやまぁ。


映画に戻る。ハエの羽根を三匹分六枚撃ち落とせるのはいいけど(いいのだ!)、なんで羽根まで拾えるんだモーガン・フリーマン?やっぱものすごいあほな映画。あとエンドクレジットで流れるあのロック、ダニー・エルフマン自身が歌ってるんですってよ。びっくりですよ奥様。声と曲からロバート・パーマーみたいなおっさんを想像しました。