サルバドールの朝 【Salvador (Puig Antich) 】

これを見た。


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反政府活動といいつつ銀行強盗を重ねるグループの一人サルバドールが逮捕されるときに撃った刑事がしんでしまったため死刑を求刑されて執行されるまでのお話。


たしかにフランコ独裁政権があって国家権力による民主勢力の弾圧ということがあったとはいえ、描写されているもののほとんどが強盗シーンであってしかもノリノリの音楽まで流れていたりするので、どうも政治的な目的はどうでもいい連中だったんじゃないのか?ただ暴れたかっただけじゃないのか?と思っていると仲間内でも頭でっかちらしいやつが頭スカスカらしいやつ(Pablo Derqui? 目つきとかしゃべり方なんかがジョン・タトゥーロにそっくりだった)にむかってそのまんま突っ込んで喧嘩になっていたりするので、はんぶんくらいは世の中のためにやろうという気があったのかもしれない。


奪った金で武器を買う以外にもなにやらアジビラを印刷したり出版したり労働運動に支援するという言葉は聞かれるものの具体的には見せてくれないのでどれほど支持されていたのか、あるいは無視されていたのかがよくわからない。とここまで考えてみて、支持されていようがいまいがあまり関係ないことに気がついた。要するに最終的に勝利したかどうかが問題なのだ。そういう意味で見てみるとこういった運動で勝利した例は実は少なくて、ゲバラカストロキューバ革命はすごかったのだなぁと思いいたる。もちろんロシア革命もあれだけど。この映画に関していうとETAによるブランコ爆殺は死刑判決の後押しにもなったけど、フランコ以降を考えると勝利の決め手になったのかもしれない。勝利の一因がテロによって為された例かもしれん。


でも、この映画は実際のところ「死刑」がテーマなんじゃないかと。それくらい死刑確定から執行までの描写が丁寧。しかもあの死刑の方法はないわ。電気椅子も絞首刑もあれだけどあの首輪をねじで締め上げてボキッてのは、非常に気持ち悪い。しかもすぐに死んでくれないし。ま、薬物による死刑のようにどうも楽に死ねそうだなということになると抑止効果が減じてしまうからいいのかもしれないけど、やっぱなぁ。アリンコ踏みつぶすのとはわけが違うからな。


一番したの妹が可愛くてむぎゅっとしたくなった(もちろん性的ないみではありません)。あとは、主役のサルバドールを演じたのがダニエル・ブリュールでこのひとは『グッバイ、レーニン!』で奮闘した男の子であってドイツ人なのにスペイン語カタルーニャ語で演技していたのに驚いた。スペインの人が聞いても変じゃないんだろうなぁ。ダニエルえらい。あとは、恩赦が出るか?と各国のおえらいサンや法王に電話攻勢掛けているときに在フランスのスペイン領事を銃撃した仲間、お前らそれ逆効果だから。ひょっとして最後のワンプッシュ、お前らかもよと。殉職した刑事だって仲間に撃たれた分が致命傷だったかもしれないし、仲間は選ばなきゃいかんという教訓は得られた。


そうさのう、あとはやっぱ国家権力というのは糞だなという教訓。もっとも最初から糞ではなかったかもしれんが、ずるずると糞になっていくのだ。民間ならいずれ破綻して一部の中の人が裁かれておしまいになるが、国家権力は破綻しないので、放っておくと腐りっぱなしになる。人間は低きに流れるのだよ。


しかもこれが力が弱いならともかくめっぽう強い。通常は国内で一番強いのでたちが悪い。最近は国家権力の拡大なんて言ってるオツムお花畑な連中が多いので気をつけねばならぬ。かの阿呆な連中をどのように洗脳すればよいのか研究が必要かも知れん。どうしたものかのう。