ベニスに死す 【Morte a Venezia(Death in Venice)】

ということでようやく見た。当然いちごも買ってきた。思ったより安かった。パック298円。





博多とよのか!と思ったら熊本産の豊の香でした。生産管理者はまえかわれいこさん。顔写真まであるよ、びっくりした。





もちろん、洗わない。へへへへへ。だけど化粧は無理でした。頼もうかなぁと思ったけどどう考えたって変質者扱いされる。いや、まぁ変質者ですけど、ばれなきゃ問題ないわけで。逆にばれたら大変なわけで。それに頼んだ女性よりきれいになってしまったら嫉妬で殺されてしまうもの。


DVDなので予告編の間に全部食べきってしまうということもなくとおもったけど、このいちごおいしかったのでぱくぱく食べていたらホテルに着くかつかないかでなくなっちまった。


あ、映画映画。ベニスに到着して下船するときに、顔を真っ白に塗り、鼻が赤い老人が登場。どう見てもリアルボヤッキーで、しかもお年寄りなのですっっっごい気持ち悪い。『そして船は行く』に出てきた青い軍服を着たデブに匹敵するくらい気持ち悪い。そんな老人からようこそ!みたいに言われてもなぁ。


幼い娘を亡くし、その悲しみの所為か自分が作曲し指揮した演奏会ではブーイングの嵐、怒った客が控え室にまで文句をいいにくる始末。傷心に傷心が重なり、生来の心の臓の弱さから静養するように言われてやってきましたベニス。


リドというところのたいそう立派なホテルに滞在するグスタフ・フォン・アッシェンバッハ教授はなにを思ったのかホテルで見かけた美少年タージオに一目ぼれ。同じホテルなものだから食堂でもラウンジでも砂浜でもついついタージオを探してしまう老教授。


コレラがベニスで蔓延しているのを知って恐れながらもタージオを追いかけているうちに自分が感染してしまいうつくしい砂浜で死んでしまう。


もうね、ただ見ているだけ。コレラの話を銀行で聞いたあと、タージオ一家に早くベニスを去るように勧める場面があるけど、それも妄想。最後までことばを交わすことなく染めた髪から流れ落ちる黒い汗にまみれながら死ぬグスタフ。きめぇ。まじきめぇ。


美少女ならわかるけどな!たしかにタージオはすごい美少年。というか最初女の子だと思った。なんというかブリジット・フォンダに似ている。あれだ、実写で『パタリロ』撮るならマライヒ役確定だわ。


このタージオはじろじろ眺めてくるひげのオヤジに気がついて、時々見返してくる。でも嫌そうな顔はしない。微妙に、うっすらと笑みまで浮かべている。この美少年は自分の唇の赤さを知っている。


一度ドイツに帰ろうとしたけど、荷物が誤配送でわけのわからんところへ送られてしまって、それでも3日後にはちゃんとミュンヘンに届きますと言われているのに、グスタフはとっととホテルへ引き返す。もちろんタージオに会いたいからで、ホテルへ引き返すときのうれしそうな顔といったら気持ち悪いことこの上ないんだけど、グスタフにとっては最高の気分らしい。そんでもって元通りの部屋に帰って窓を開けるとちょうど目の前の砂浜にタージオが。そこでおっさん、手を振っちゃうのね。タージオに。もう爆笑。


アメリカン・ビューティー』がコメディならこの『ベニスに死す』もコメディだろうな。終盤あたり、弱りきった瀕死のグスタフがベニスの街中でタージオを追い回すころは笑うしかない。ものすごく苦しそうなんだけど、笑うしかない。グスタフ本人も体調が最悪になりもはや歩けなくなって座り込み、脂汗を流しながら馬鹿笑いする。


最後の最期まで、無様でみっともなくて見苦しいグスタフと繊細でありながらただのひとつの瑕疵も寄せ付けない完璧なタージオ。

最後の砂浜の光景はとてもきれい。夕陽の射す砂浜。画面が空と海と砂浜によって奇麗に三分割されていてそのど真ん中にまっすぐ立つタージオ。手前右には蛇腹のカメラ。ずっと奥には船が浮かんでいる。波打ち際は波が打ち寄せるたびに波頭がきらめき、光の帯があらわれる。グスタフ本人は気味の悪い白塗りの顔に黒く染めた髪から黒い汗が流れおちるという救いようのない醜い姿でそれを眺める。


全体的にブラックジョークというかコメディなんだけど、最後の着地は綺麗に決まった。時折人の顔にぐっと寄るカメラワークがうっとうしいというか古臭いんだけど、仕方ない。あとタージオはものすごくきれいな本当の美少年なのでいい(いくら絶世の美少年といっても俺は次女のほうがいいけどな!)んだけど、グスタフが…藤田敏八なんだよね。ひげとかメガネとか肩から背中への線とか『ツィゴイネルワイゼン』の藤田さんとそっくりで気になって仕方なかった。途中から、ああこりゃコメディだなと思った所為か、正面から見た顔は『サラリーマンNEO』の生瀬勝久に見える始末。もうちっと二枚目でもよかったとおもうんだけどね。まぁ『仕立て屋の恋』のおっちゃんよりはかっこいいけどな。


追記:そういや途中流しの楽団というか道化みたいなのがホテルに入ってきた。あの男も顔が白塗りだったな。冒頭のボヤッキーに真ん中あたりに出てきたこの白塗りの道化、そして最後のグスタフの白塗り。なんかあるんだろうね、意味が。あんま考えたくないというか見直す気がしないのでアレだけども。