ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 【There Will Be Blood】

今週末しかない、ということで見てきた。もう、ずっと雨降ってる中あちこち歩き回ってべとべと。さいあく。しかも開始が18:50ってお前。しかもスクリーンちいせぇ。なんか大きい講義室のスクリーンとかわらん。


でも10番目のご入場で、ど真ん中に一人すわって見た。画面が小さいかわりにシートがでかいし前後の間隔も広い。ということでお尻が痛くなることはなかった。ただ、映画の終盤、となりのおっさんが扇子を仰ぎだし、加齢臭をぶわぶわと送り込んできたのには心底ムカついた。しょうがない。自分のにおいはわからんからなぁ。行く道というし。我慢したおれ偉い。


で、映画ですが。これは…既視感があるぞ。そうだ、『ノーカントリー』だよ。もう忘れてるけど『ビッグ・リボウスキ』も似てた気がする。ってこれはコーエンじゃない。『マグノリア』の人だっててつや先生言ってたもん。


これは、なに?確かにタイトル通りかもしれんが、よくわかんねー。ひょっとしてキリスト教とかちょっとは知ってないとだめなの?そうなの?


冒頭落っこちてめちゃくちゃ痛いことになったダニエル・デイ=ルイスさんをみて卒倒しそうに。ほかにもいろいろと結構リアルにけがしたり死んだり(あっけなく、ということ)していていやーな気分に。もちろん不協和音というのか神経を逆なでするような音楽もかなり効いている。というか不安にさせる不吉な音楽が先行して、忘れたころにその不吉な画面が現れたり。


登場人物も気持ち悪い。最初こわいダニエルを見てうわぁと思ってたけど息子のHWが出てきてあの無表情でちょっとアレな目つきに戦いたのもつかの間、真打登場ポール・ダノ。そう、『テイキング・ライブス』で逝っちゃったティーンエイジャーをやり、『リトル・ミス・サンシャイン』でも逝っちゃった兄ちゃんをやっていたあの子。きめぇ。


熱に浮かされたようなことはしませんといいつつ思いきり浮かされた様子で、リウマチに苦しむ老婆から“悪魔”を追い出すシーン。期待通りすぎてすこし気が抜けたくらい。もう彼にはふつうの役は回ってこないかもしれんね。かわいそうに。


平手打ちのシーンではもれなく笑ったけど、全体的に重苦しい。なんというのか、現実そのまんますぎやしないか。もちろん微妙にファンタジーっぽいとこもあったけど。挿入された回想シーンなんかを見ると、ダニエルさんの視点で撮られてるんだけど、そのまんますぎわかりやすすぎ。普通じゃん。と見えたわしがキチガイなんだろうか。


途中ダニエルがシチェルパートフに見えたので得した気分にはなりました。


追記:ダニエルの汚れたごつい手がよかった。爪の中に入り込んだ油。あれはいくら洗っても取れないんだよな。しんだ爺ちゃんがそうだった。あの手を超える登場人物はただのひとりもいなかった(はず)。あと、ダニエル・デイ=ルイスって布施明に似てるよね。