戦争と平和 【Война и мир】

ぬかった。しくじった。ヘマした。


起きたら12時前だった。ということで見終わったのがつい先ほど。いやぁ、疲れたぁ。

戦争と平和 [DVD]

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1部から4部まで8時間くらい?兎に角ながかった。画面は横に長く、調べてみると70mmフィルムとかいうオバケ。その所為か上下左右を詰めたちいさな横長の画面でしか見られなかった。あと字幕が消せない。まぁどうせロシア語なんてわからんから字幕ないとどうしようもないんだけど焼きこんであるのはやっぱ嫌だな。


主人公のピエールがでぶメガネだったけど、原作どおりらしい。ヘンリー・フォンダがスリムすぎたのだ。このピエールを演じたのが監督のセルゲーイ・ボンダルチュークで、いかにもな監督顔。ちょっとだけカルロス・ゴーンに似ている。似ているといえばロストフ伯爵の声がどことなく轟警部の加藤武(よし、わかった!)に似ていた(どうでもいいけど)。あともう一人の主役ナターシャを演じたリュドミラ・サベリーエワ(おお、ドイツ軍に包囲されたレニングラードで生まれている)がどことなくオードリー・ヘプバーンに似ていた。あとかわいい。おでこ綺麗な女の子最高。


映像もいろいろ面白いところはあった。特に場面転換の方法とスプリット。一点だけおかしいなと思ったのがカメラと視点を中途半端に一致させてたところ。どういうことかと言うと、例えばピエールがメガネを外すと近視なので視界がぼやける。ということで画面もぼやけたりするんだけど、メガネを外したピエール本人の顔もぼやけてたりする。分かってやっているんだろう。似たようなことが何回もあって、不思議と繰り返されているとこれはこれでそれなりにいい効果なんじゃないのかと思えてきた。おかしいんだけど、監督の言いたいことはわかる、みたいに。


しかし。なんと言っても凄いのはやっぱり戦闘シーンでしょう。これ当時映画館で見た人はどんな風に感じたんだろう。退色もしていなかった、70mmフィルムでどーーーーんと広がるあの戦闘シーン。うらやましい。


もうね、馬がどうこうじゃないね(いや、馬もよかったですよ。馬車もね)。凄いもん。噴煙と砂塵と爆音と多数の大砲と騎馬と無数の兵士を上から下から右から左からずーーーーーーーーーーーーーっと撮っているの。兵隊乗せてない馬の群れとかどういう意味なのか知らんけど迫力はあった。


戦闘シーンは数回あったけれど、やはり圧巻はボロジノ。聞いてはいたけれど、始まって驚いた。すげぇ。これは本当にすげぇ。


と思っていたら、それは文字通り序の口だった。中盤から後半にかけて桁違いの迫力。実際、軍隊を動因したというけれど、実戦なみの訓練になったと思った。あの煙と轟音のなか、戦場全体の状況を把握して指揮を執るなど不可能だろう。かといってそれぞれの部隊が自由に動いていいわけはないし。どんなマヌケな状況でも命令どおりに動くしかないんだろうな。敵さんと隣り合ってるのに行進するとかさ。


もちろんこれはフィクションなんだけどもあの撮影、あれは、たぶん、死者が出ている。馬なんていっぱい死んでるね。死体役は“役”じゃなくて、死刑囚とか政治犯を殺して並べていたに違いない。いや、ほんと、死人出てますねあれは。それくらい凄い。


全体にスケールが違う。モスクワの大火だって結構凄いのに、ちょっと麻痺しているし。確かにこの映画、ちゃんと修復しないともったいない。というか、なんというか、映画人だったらちゃんとしなきゃいかんと思うはず。人としてどうかと思うよ、放置は。ビル・ゲイツさんとかさ、ガスプロムの会長とかさ、なんとかしろよお前ら。無駄にカネ貯めてんじゃネーヨ。


あと面白かったのはロシア人。ロシア人って、おいもわかきもおとこもおんなも、とんでもないな。しんどい。疲れる。ナターシャかわいいけど。死んでしまったリーザもかわいいけど。フランス人もどこかおかしいけどな。


いちばんワロタのは、ピエールが結婚するときの台詞。周りに勧められた女性と二人きりで向き合っていた場面で。


ピエール心の声。

“もう手遅れだ。なにか言わなければ”



で、実際に口にしたコトバが

“愛している”



そらあかんわ。


追記:見ていて思った。宮崎駿はこれ好きだろうなぁって。あと馬だけじゃなくてボルゾイも良かった。あれだけの数のボルゾイが大きな体躯を山のように折り曲げ弾くように飛び出して原野を疾走する姿には感動した。おとなしくしゃなりしゃなり歩く姿しか見たことなかったし。