うっうぅ

『咎』を読んだ。


昨日の『情熱の犯罪』とはうってかわって分かりやすい。と同時に軽く衝撃を受けた。たしか以前にも一作くらいはポルノ書いておきたいといった内容の発言があったけれど、ほぇ〜、短編では既に書いておられましたか。


冒頭のアムステルダムにおける古本屋めぐりの描写は、どうしたって大蟻食せんせご本人を想起せざるを得ない。いや、だって。服装まで思い浮かぶぜ。ほかの人は無理。


で、古本屋ならぬ古道具屋に着いてからの描写はどこか懐かしさを感じるほどの大蟻食節(カツオと違って喰えねぇでさぁ)。ショウウィンドウにドンと視線を捕らわれたあと、いかにも!な姿の店主を切っ掛けに店の中へ入り、そして商品の描写へ流れていき、肝心の古本の話へと滑らかに移動。しかもオペラグラス風のおもちゃの話がはさかってるところがとってもいい。どうということのない内容だけど短くてそれなりに面白い薀蓄が終わったところへ丁度いいタイミングで店主が帰ってくるところがステキ。小さい穴を覗いているというのも上手い。そこからふっと店主に移る視点が。


うんうん、いいねぇやっぱりなどと思っていたらポルノ開始。うへぇ。明らかに意図は分かるのでそれなり(騙し画を見るときのように)に構えながら読み進んでいった。最後はやっぱり思ったとおりのオチだったわけだが、一点だけ、そりゃねーよというところがありました。肉っていう単語、あれは反則だわ。え?なにっ?って動揺しちゃったじゃないか(#゚Д゚)


で、ほんとの最後。騙されてないといった舌のネも乾かぬうちにこのおちかwwwwと。


コンパクトで全体のバランスもいいし一部乱歩ですか?見たいなところもいい。あまりに出来杉くんで、逆にそのいいこちゃん臭さが欠点(極めて軽い)にさえ思えてくるくらい。


しかし、これどうなんだろう。なんというか文芸誌って必ずと言っていいほど、どうでもいいような糞みたいなポルノを載せてるよねぇ(え?俺が読んだヤツだけ?)。ひょっとして若き日の大蟻食先生にエライ(顔だけ)編集者がああいうのを期待して、おまえちょっとポルノ書け!とか言いつけたら、こんなお上品なのが帰ってきましたよ、みたいな展開だったんじゃなかろうか。とか少し妄想してワロタ。ハゲでぶメガネの脂狸が“ちっ”ってなってんの。自分が期待したものとはまるで違う。だからと言ってお題は言ったとおりのものだし、これはこれでよく出来てて面白いので文句が言えない。みたいなw