エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜 【La môme】

いろいろ考え合わせると、今日しかない。ということで半ば衝動的に見てまいりました。まぁマリオンがオスカー獲ったし、いいやって。


タイトルどおり、その歌を誰でも(極東の島国でさえ)聞いたことが有るであろうエディット・ピアフの一生を描いた映画。始まりはパリの下町。道端に座り込んで泣いている少女。通りを挟んだ向かいで陰鬱(ポジティブ嫌いの私でさえ軽く引いてしまうほど)な歌を歌っている母。


この直後母親は自分の母(つまり祖母)に娘を預けてコンスタンティノープルへ出稼ぎに出てしまう。そこも相当ひどい環境で、一人汚いベッドの中でうめいている少女。どれほど時間が経過したのかはわからないけれど塹壕から一時帰国した父親が彼女を連れ出す。助け出した、といえなくもないけれど連れて行ったさきは自分の母が経営するノルマンディーの娼館。ここでは娼婦に可愛がられてそれなりに幸せ(といってもひどい環境には変わりない)だったが、数年後退役した父親が迎えに来て自分の所属するサーカス団へと連れて行くが、団長と喧嘩別れした父娘は二人きりで街中で大道芸をしながら暮らすことに。10歳のエディットはここで初めて人前で歌いはじめる。


と、まあ悲惨な環境をそのまま描くものだから見ていて重いツライ苦しい。あと時間軸について言うと、子供時代から順に進む軸と晩年の老いたピアフが交互に描かれているんだけど、いろんなエピソードの配置が意味不明。素直に子供時代から亡くなるまで並べても良かったんじゃないかなと小一時間考えたりしない。ただふと思い浮かんだだけ。


あと、音が大きい。いや、音が大きいんじゃなくてピアフの怒鳴り声や歌声だけが大きい。ほかの登場人物の声は普通だったし。あの音量が事実だとすると周りの人はさぞやつらかったろうと思うくらい。


出来事が良くも悪くも(といってもあまり良いことはなかったように見える)激しくて、気性も病的な感じに荒く、見ていて疲れた。なにか少しずれていたらもっと幸せになっていたんじゃないのかと思えるあたりが余計に哀しい。


そして、マリオン・コティヤール。確かに凄い。映画としてはともかくマリオンの熱演は凄い(疲れるけど)。伝記映画はそもそも難しいのかもしれない。映画向きな人生、ちょうどいいところでクラマックスに使えるようなエピソードがあるような人生なんてそんなにないだろうし。ピアフにしてもこれというピークがなかったしね。あのマルセルのエピソードを最後に持ってきたのもその所為だろうか。


兎も角、驚いたのはあの綺麗なマリオン・コティヤールの魅力がないのが凄い。といっても奇矯な化粧をしているわけでもなく、じゃぁいったいどこがイケナイのかというと髪型と眉のかたち。眉は形というか描いているだけなんですが。もうね。女性にとって髪と眉は命だということがよーっくわかりました。マリオンなのにピクリとも反応しないんだもん、僕の心。もう凄い歳だと思ってみていたら40歳くらいだったというので、病気にしても薬物中毒にしても相当ひどい状況だったらしいというのはわかるけど、20歳くらいでもダメだったし。