アメリカン・ギャングスター 【AMERICAN GANGSTER】

宿酔のため予定より一日遅れで見て参りました。


いやぁ、予想通り、デンゼル・ワシントンが格好良かったー!もう最高。覗き見するような上目でじぃっと状況を見詰めるところなんてもう惚れた。地味で着実でキッチリと組織を作り上げる。ただ、着想からジャングルまで自分で買い付けにいくまでの素早さと実行力の高さは、なにやら桶狭間のよう。最低一回は大博打はしなきゃいけないということでしょう。だってあの国民党の整形親父にあの場で殺されても本人以外の誰も何も困らなかったしね。


プロジェクトX2回分の濃さということだったけども、タイトルにあるようにやっぱりギャングスターのフランクがメインで刑事のリッチーは微妙に脇役だったですよ。いや、たしかにアローハは似合っていたけどさ。あれにクラって来るというのはアレじゃないでしょうか。危機ですよ危機。クライシス・オブ・○○です。だってさぁ、今回のラッセル・クロウはいつにもまして野獣だったもん。なんだか獣臭が臭ってきそうなくらいだった。あ、フェロモンか。なんだラッセルが『パフューム』に出てれば成功したんじゃないの?モニカ・ベルッチとか。あ、みてないから内容知らんけど。


もとい。ハーレムの様子がカッコよかった。住むには大変なんだろうけど余所から見ているだけの僕にはカッコよかった。どこかで見たことがある光景だと思っていたけどそう感じたのは多分この本の所為。


ハーレムの熱い日々 (講談社文庫)

ハーレムの熱い日々 (講談社文庫)




この表紙の男の子の顔で買ったという僕にしては珍しい買い方をした本。写真はもちろんよかったけれど、吉田ルイ子さんの文章も良かったという記憶がある。ま、内容は覚えてないけど。次の一文だけは覚えている。

“Ain't nobody step on me, when I'm walking down the freedom.”

(freedomはstreetだったかも)


なんだ時代もぴったり同じじゃないか。この本を読んだときも息が苦しくなるというかむせるような気持ちになった。そのときの胸のもやもや(←これは通常使われる意味ではなくてですね、何かを読んだり見たり聴いたりしたときに胸からお腹にかけて発生する靄なのです。僕はこの靄を記憶することで鑑賞としております。多分)を思い出しました。はい。


リドリー・スコット監督が言うには最後の音楽には意味があったそうですが、僕には判りませんでした。エンドクレジット後のあのシーンもよく判らない(すぐに帰ったヤツらバーカバーカバーカ。もう映画館に来るな!)。ぼけーっとしていてしっかりとは見られなかった。ま、なんとなくわかるけど、そんなのイヤイヤ!


『ゾディアック』にも似ているけどこっちのほうが圧倒的に好き。西海岸はやっぱ合わんわ。いや、どっちも行ったことないですけど。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』もニューヨークだったなぁ。いいな。一回くらい行って見たい。


悪党役のジョシュ・ブロリンが汚くて役にぴったりだったし、上映前のコーエン兄妹(でいいよね?)の新作(あれですよ、最終的にチラシをもらったやつです。大蟻食センセがもらっとけば?って。って。期待は大きい。予告で、ちょっとしかめっ面気味のトミー・リー・ジョーンズを見ただけで涎でた。)でも汚いおっさん役やってたし、もう一流のヨゴレ役者といってもいいんだろうけど少し残念だ。北欧系らしくむかしはナイスなヤツだったんだが(ま、バイキングと言えなくも無いか)。逆にマーク・ウォールバーグがいいヤツをやっているのが不思議だ。入れ替わっていてもおかしくないんだけど何がどうなってこうなったのか。運命って面白いなぁ。


なんだかいつも通りマトマリのない感じになっているので安心です。脳の健康のバロメータですし。しかし上映前のCMが20分というのはやり過ぎだと思います。まぁ、スティーブン・ソダーバーグジョージ・クルーニーの『フィクサー』と前述のコーエン兄弟トミー・リー・ジョーンズの『ノーカントリー』は良しとして、『ジャンパー』がうぜぇ。酷くうぜぇ。なんだか一押しらしいけど(mixiもな)、どう見ても『ファンタスティック・フォー』レベルのC級SFにしか見えんのだけど、どうなん?



追記:警察のほうが悪党に見えたし、ある意味本当に悪党だったというのもあるし、見た目ギャングが格好よかったということもあるし、ラッセルとデンゼルのどっちの下で働く?と問われればデンゼル!と即答できるというのもあるんだけど、やっぱりあの団地の工場で見張りやりたいです。音楽聴きながら、なんか飲みながら、ちょっと揺れたりしながら、裸体に囲まれていたい。むせてもいい。いや、むしろむせたい。