狼たちの午後 【Dog Day Afternoon】

これを見た。


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見終えたときにはなぜ見ようと思ったのか忘れていたけど監督が『未知への飛行』のシドニー・ルメットだったからだ。


ということで、それなりに期待していたんだけども、銀行強盗の話だとか主役がアル・パチーノだとかDog Dayという単語からぼにゃりと思い浮かべていたものとはまったく違う方向に展開した。


いちばん目を惹いたのは実はストーリーとはあまり関係のない、非常に若いアル・パチーノのぎょろ目で、カッコよかったりまったく逆にマヌケに見えたりときにはとても可愛らしくみえたりと三面六臂の大活躍。


これはアル・パチーノ鑑賞映画なのだ。普通にかわいいねなどと愛でるようなものではありません。バイセクシャルなんだもん。ルメットはその気があったんじゃなかろうかとか思った。相棒のサル役のジョン・カザールもかなり強力なキャラだったけど、こちらはアルとは対照的に一本調子なので引き立て役にしかなってない。


とはいえ、72年の事件を75年に映画化したということで当時の雰囲気はかなり忠実に再現されているのかもしれない。されてないかもしれない。けれど、今とはまったく違う時代の雰囲気、風俗がよく撮られているようでそれなりにおもしろい。


日本だと浅間山荘の鉄球だとかリンチ殺人だとか空港での乱射事件のころにあたるわけで、残り香というか腐臭のようなものは僕だって覚えているはず。だった。いや、雰囲気は覚えているけどそれに対する感じ方は昔とは随分変わってきていることに、この映画を見て気がついた。まだ上手く説明できないけど、同じものを見ているのに感じ方がかなり変わってることだけは確か。


ヘンな感じ。