カポーティ 【CAPOTE】

これ見た。





ティファニーで朝食を(Breakfast at Tiffany's)』で有名なトルーマン・カポーティが、田舎町で起こった富農一家惨殺事件の報道を目にして、『冷血(In Cold Blood)』を書き上げるまでのお話。


これはもうフィリップ・シーモア・ホフマンの演技に尽きる。ような気がする。『冷血』はめちゃくちゃ有名なのに読んだことが無いし、『ティファニーで朝食を』も映画すら見たことが無いというわたくし。そんなわたくしでも、なぜだかカポーティというのはこういう人だったんだろうな、すっげぇ似ている(ありえない!)とついつい思ってしまう。そんな雰囲気。


カポーティは見た目がキモイヲタク(並べると変だな)なんだけどもどうやら人気者のようで、時折酒場やパーティで大勢のセレブ(くさい)人達に囲まれて、ちょっと毒のある笑い話を披露していたりするけれど、友達らしいのは助手・秘書のような女性ハーパー・リーと君たちはゲイですか?という男友達ジャック・ダンフィの二人だけらしい。


いろんなところで見せる細かい仕草や表情、嘘、奇矯な言動を見るとADHDというかアスペルガーというかなにかの病名が付きそうなほど。いまウィキペディアでみると他人の感情を推し量ることが難しい人ということだから違うか。なんか違和感があるなこれは。彼らは敏感すぎるから遮断しているだけで、病名をつけて診療している連中のほうこそ鈍いような気がするんだけど。まぁいい。ともかくそういう人がここまでの仕事ができたというのはやっぱりアメリカだからだろうかと。日本じゃありえない。


従犯だと思っていたペリーが4人を殺していたというのには少し驚いたが、彼が一家の長を殺し、そのままの勢いで残る母子を殺していったところは妙な説得力があった。彼はこう言った。“あの音を聞いて”我に返ったと。あの音というのは父親の切り裂かれたノドから血や空気が吹き出る音らしい。それでとどめを刺し、そのまま一家惨殺に向かう。あの残酷さを感じなければ、人がスイッチをぱちんと落とすように殺せるならば、少なくとも他の三人は殺さなかったんじゃなかろうかと思う。


っと。またまとまり付かずになってしまった。兎も角、インソムニアのような白夜のような見ているものまでピリピリさせる画面(あの光と白人の肌、金髪の組み合わせはかなり強力)とホフマンの演技。面白うございました。