大失敗した。奈良国立博物館正倉院展へ行こうと近鉄のってエッコラショと着いてみれば人山の黒だかり。違う、黒山の人だかり。“だかり”ってなに?おお、“たかる”だな。漢字で書くと“集る”


近づくにつれ見る気が失せる。ということで諦めた。去年見たときにも凄い人だったのに、忘れていた。なもんで起きるのが遅すぎた。だがしかし、このままでは電車賃が勿体無い。さらにはこの晴天。ということで、公園を散歩する。



いやぁ、鹿が居た(写真は池に入った鹿)。いっぱい居た。凄いねこれは。奈良にしてみればこんなこと1200年前から当たり前だけど。1200年て。蝦夷地にはない数字ですねこれは。いつ行っても東京がイマイチに感じるのは400年くらいしか経ってないからかもしれん(なもんで東京って聞くとちょっとワロテしまうのね)。鎌倉だともっといい感じかもしれないが、行ったことが無いので分からん。最低でも7、800年は経ってないと落ち着かないのかもしれんね。奈良、京都、大坂が近くに集まっていて1000年なんて当たり前に感じているけど、余所はそんな雰囲気はないのかなぁ。


と、天気がいいにも拘らず鹿の糞の臭いはしないという素晴らしい公園をぶらぶら歩いていて、ポスター発見。興福寺でなんか初公開とか書いてあるのでとりあえずGO!する。まんず、国宝館という凄い名前の建物に入る。入ってすぐ、未完成の巨大な頭部だけの仁王様。でけぇ面だが仁王だから仕方ない。金が足りなくなったのか制作途中で中止になったのだと。


小さなものから大きなものまで色々あったけれど、メインはやっぱり八部衆像。一列にずらりと並んだ八部衆像の前に来ると途端に進行が遅くなる。まず、五部浄(ごぶじょう)。これは胸までのみ。ただし、鎧の胸当てを見る限り他の像と同じようなので違うとすれば手の仕草程度と思われ。頭には象さんの冠。象さんといっても想像だから鼻が長いだけ。結構カッコいいかもしれん。小1の男の子に被らせればいいくらい。


次、沙羯羅(さから)。とぐろ巻いた(とぐろってなに?)蛇を被っている変人。元は蛇なのに中国人が竜と訳したので変な人になってしまったらしい。お隣が鳩槃茶(くばんだ)。鬼ですね。歯を剥いて目玉も剥いてかなり危ない感じの人です。あっちいけ。


隣が乾闥婆(けんだつば)。香を食って音楽を奏でるという近くに一人居ればいいのに(美女ならなおのこと良し)という変人。どう見てもおっさんだけど。


お次。とうとう来ました。阿修羅(あしゅら)です。明らかにこれまでの像と違います。腕6本あり升。顔も3面あり升。鎧着てません。透けるほど薄い着物着てます。この阿修羅像、これまでにも何回か見ているはずだし、教科書かなにかの本でも写真を良く見るやつですが。今日は間近にじっとりと見た結果、真ん中の一番えらいと思われるお顔と目が合ってしまいました。するとおかしなことに阿修羅さんが生きた人間のように感じられたのです。危ないですね。サンスクリットだったかのASURAから来た名前で、ASU=生命、RA=与えるという意味らしいです。本日わたくし、ちょっとだけ命頂きました。


しかし目が凄い。他の像は明らかに変な顔なんだけど、この阿修羅の目はなんだか写実的なわけです。とくに左目が。結構二枚目だし。じとーって見てしまいました。視姦じゃないですが、じとー。


次。迦楼羅(かるら)。鳥です。ここまでは動物を模した冠を被ってはいてもご本人は人間でした。顔が3つあっても人間は人間。でもこいつは鳥です。顔が鳥。スペースコブラにでてきなへなちょこ悪党星人のような。しかもあっち向いてるし。残り2体を見終わってから振り返ると丁度こいつと目が合います。どうみても2ちゃんねるで見かける鳥さんそっくりです。こっち見んな!という思いが自然にわいてきます。


メインの阿修羅さんと鳥さんの印象が強すぎてのこり2体がぼやけています。多分私だけではないでしょう。かわいそうな緊那羅(きんなら)さんと畢婆迦羅(ひばから)さん。しかしよーく見ると緊那羅さんは額にスリスリスリットが。説明を読まずに見ると、かなりアレに似ていてこどもは見ちゃだめな感じなのですが、これは第3の目ということです。三つ目が通るのあれ。そりゃそーだ。額にアレがくっ付いててもエロキチガイジジイしか集まらん。顔がおっさんだし。ひばからさんは何もなし。かぴばらさんに改名したら少しは人気が出るかもしれません。


他には、ちいちゃい仁王像と燈篭を支える2体の鬼が印象的。ちいちゃい仁王は2体とも目が寄りすぎ。より目じゃなくて位置が近い。筋肉の様子がリアルで、体長のわりには足がでかく、踏ん張った姿はかなり怖い。『GANTZ』とか『ナイトミュージアム』見たいにこいつが動き出したらどんなだろうと想像したら、速攻殺されそうな気がしました。結構リアルに想像できてしまう筋肉の付き方。


燈篭を支えているのは龍燈鬼立像と天燈鬼立像。どっちもいつもなら四天王あたりに踏みつけられている(それも1000年)かわいそうな邪鬼さんですが、このお二方はかなり可愛らしい。いや、こいつらだって動き出したらと思うとかなり怖いし、牙があるので瞬殺で肉片になるでしょうが。というか生きたままお腹に食いつかれて食い破られてそのまま喰い進まれる感じなんだろうと思います。邪鬼だし。あれ、タスマニアデビル


と、予定外に仏像を見たわりには結構濃い体験だったので、良しとします。あ、忘れていた。今回初公開となった大圓堂の聖観音菩薩立像。遠い!小さくて見えない。写真の方がいい。置かれている建物はなかなか雰囲気のよいところだったけど小さい。庭には美大の先生(籔内佐斗司さんとか)が作ったというキューピーのようなビリケンさんのような変な人形が置いてある。顔がムカつく顔をしているが、まあいい。あの庭に置くならもうすこし小さいほうがいい。なくてもいい。あと龍の尻尾。頭を地面に突っ込んだ形になっているので、どこか別のところから顔を出しているのかと思ったがそうでもないらしい。つまらん。金返せ!だが、一点だけ興味を引いたことが。この観音さまの光背は後でくっつけられたものらしく、その所為で国宝になれずに重文扱いになってしまったという。国宝の基準がわからん。光背にしてもそんなに新しいものではなかったと思うんだけどな。