未来世紀ブラジル

なぜか、見た。

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これは結構凄かった。というか、こいつの所為だな、今日ヘンな夢を見たのは。


見た目がさっぱり冴えないもやし男=サム・ラウリーが主人公なんだけど、これがほんとに冴えない。駄目。親のコネがすごいらしく、化け物のような母親から色々薦められているにも関わらず自ら望んで閑職に就いたまま出世しない。


この男、よく見る顔なんだけどジョナサン・プライスという役者。これも聞く名前だけど、主役は見たことがなかった。このヘナヘナ男が主人公というのは珍しい。いや、ヘタレ役といえばヒュー・グラントだけど、あれはそれなりに二枚目だし、オサレだ。でもジョナサン・プライスは二枚目でもないし、オサレでもない(いや、スーツは結構よさそうなのを着てたけど)。そんなのが、これもやっぱりヘボヘボな情けなーい妄想に耽ってる。ああ、これはもろに非モテじゃないかと。


SF的な設定も映像も面白いし、へな猪口主人公もよかったんだけど、途中からこのサム・ラウリーがバカすぎて余計なことばかりして、結局そのお陰で事態が悪化するという流れになったので、うんざりし始める。


それでも、やっぱり面白い。SFといっても特別なものは何もなくて、コンピューターもおんぼろヘンテコだし、情報も紙ベースだし、何かというとダクトダクトダクト。SFっぽいのは社会情勢の設定くらい。ということで、どうも『Vフォー・ヴェンデッタ』とか『トゥモロー・ワールド』のような感じ。なんというか社会システムSFというかシチュエーションSFというか。


でもそれが面白い。執拗に母親とその友達の整形外科手術の話が出てくるのも面白い。ダクト。書類・書式。見ているほうからするとおかしなことばかりだけど、そんななかで冤罪で逮捕され、殺された労働者バトルの奥さんと息子たちの反応だけが極自然なものなので、帰って際立つ。あれだってまぁ、ギリギリだけどね(もう少し激しいと笑ってしまう)。あ、テロの犠牲者の様子も結構生々しく感じたな。


映像のほうは、やっぱり鎧姿の巨人だろうな。サムも西洋の鎧を着て、機械仕掛けのイカロスのような翼を持っているんだけど、この巨人は日本の侍の姿。あの決闘シーンがCGなどを一切使ってないにも関わらず結構すごいことになっていた。


これは映像というよりシナリオといったほうがいいかもしれないけど、最後の逃げ回るシーンはすごい(結局アレだったわけだが)。もうね、展開の仕方が悪夢そのもの。タトルに紙が張り付いていくとところとかね。葬儀場で前後を挟まれてしまったとき、これは棺桶に逃げるしかないなと思ったらそうなったのには驚いた。


同期なのか知り合いらしい拷問吏ジャックの仕事場であるあのドームって『X-MEN』のと似ている。というかあれはSFでは良くあるスタイルなんだろうか。あれは実際にセットを作ると大変だと思うんだけど、あそこだけは微妙に特撮っぽかった。


あ、ロバート・デ・ニーロが脇役だったのに驚いた。その所為でサム・ラウリー=ジョナサン・プライスのヘボさが目立つ結果になっていて、監督の権限ってすげぇなと。


兎に角おもしろうございました。なんか『ブレードランナー』が見たくなった。