こちらがメインだったので助かった(なにが?)。『300(スリーハンドレッド)』を見てきた。シネコンでは人山が出来ていたが殆どが『パイレーツ〜』がお目当てらしく、吹き替え字幕あわせて3つか4つの箱で掛かっていたのに満席だらけだった。ジョニー・デップ偉いな。


とはいえ、『300』もほぼ満員(小さい箱だったけど)。始まってすぐ、スパルタのシステムが説明される(レオニダス)。弱い赤ん坊は谷へ捨てられ、その他の子供は7才で親元を離れ戦闘訓練を始め、12才で荒野へ放り出される。そうして生き残った青年だけがスパルタの戦士になるらしい。


CGの狼がいきなり作り物感=漫画感全開だったけど、一種レオニダスの伝説という扱いなのであれはあれでよかったのか。肝心のテルモピュライについてはそれなりに本物っぽく見えた。


本物っぽくといっても全体に紗が掛かったというかぼんやりと光ったような画面で、今思えば、あまり奥行きを感じない平べったい映像だった。しかも横幅も舞台が舞台だけに(隘路)狭い。


なんだけども押し詰まった感じはなく、そのあたりも奇妙な感じがした。が、戦闘シーンは期待しすぎたということもなく結構面白かった。スローモーションにリアルタイムな動きを挟み込む形で(音楽とシンクロしてたか?)、結構な分量の殺陣が見られた。ここの殺陣は『どら平太』で役所広司が見せたものに近く、流れながら何人も倒していく様子を横から撮っていた。黒バックに白刃煌く分、『どら平太』のほうが格好よかったかもしれない。


大蟻食さんの公開講座で痛みについて云々とあったんだけど、特に気になったところは無かった。何度も何度も突き刺しぶっこ抜かれる槍先の血も、深々と差し込まれる剣も、目新しさはなかった。特に剣については『トロイ』の冒頭でアキレスが見せた“一刺し”のほうが残酷でリアル(というのも変だけど)だった気がする(効果音が効いていた)。


スパルタが格好いいのは当たり前だけど、対するペルシャ軍が見てくればかりだったのが少し残念。サイも象も役立たずだったし、精鋭であるらしい、仮面をつけた不死部隊も背中の剣といい布を巻いた頭部といい見た目は良かったのに弱すぎた。にもかかわらず何故かスパルタの驚異的な強さというものもあまり感じられない。何故だろう。哲也さんの評によれば3日間の戦いだったらしいんだけど、そのあたりが分かり難かった。戦い全体の流れにおける山と谷と結末がもっとすっきり分かればもっと面白かったんじゃないのかなぁと。


あと一点。クセルクセスの変態っぽさがちょっと。目がぁ、目がぁ!ものすごく整形顔というのか、不自然さが全開。まぁ、自称神なのでそれくらい異様なほうが良かったのかもしれない。声も見た目から想像したものから随分ずれてたので、意図してたんだろう。そうね。ペルシャ側の兵士にバラエティがあるのは分かったけれど、なんというか人間らしさがなかった。完全にギリシャ側からだけの視点。


うわあああ。なんだかめちゃくちゃだ。史上最高にバラバラな感想だ。うはぁ。兎に角。悪くは無かった。個人的には『トロイ』で最初に見せたトロイ側の盾を使った押し返しの場面のような、圧倒感(同じような場面は一応あったけど)が見たかった。いや、悪くはなかったけど。『英雄』のジェット・リーみたいな最期はちょっとやだったけど。原作の漫画がそうなのかもしれないけど、見得を切るようなシーンがたくさんあったのは素直に格好よかった。そう、褒めて〆ないとな。