ベッカムに恋して [DVD]

ベッカムに恋して [DVD]



これ一度書いた気もするんだけど久々に見直したので(傷のせいかチャプタ9のところで途切れる)。


いやあ、邦題(原題はBend it like Beckham)が痛いこととサッカーシーンでちょい詰まるところを除けば非常によいのではなかろうか。


ま、そういうお話はいいとして、今回じとーっと見つめたのはイギリスにおけるインド移民の世界というか街の部分であってあれね、ロンドン地下鉄&バスのテロのことやらゼイディー・スミスのことやらあったのですよ頭の中に(←故意にオカシクした例ですよーん?おかしくないか?)。


街で売ってる服なんかがインド風であって、とはいえそれはおばちゃんやおばあちゃん用だけでなくって、若い女の子(ジェスの姉ちゃん)が萌えてるのなんてやっぱりインドっぽいんですよ。お母さんが作る料理もインド風だし結婚にまつわる儀式もインド風だし娘達の結婚相手もBendしなければ普通に同じインド人なわけですよ。黒人はダメ、ムスリムなんてとんでもないという台詞があったし。一番若いジェスミンダにしたって人前(といっても同じチームの女の子)で着替えることを躊躇っていたし(判らなかったのがジェスがパキ(パキスタン人)と罵られてブチ切れてたところ)。


で、同じインド系であっても既に上流と中流にきっちり分かれてるところとか、白人の方もジュリエットのお父さんの発音ちょいアレじゃね?とかコーチはアイルランド系だとか、もう複雑でアタマ追いつかんとですよ。


そういう部分も判るようになれば相当おもしろいんだろうなどうせおれにゃわかりゃしねーよなんせイエローモンキー(グリニッジのあるとことは違う極東産!)であってしかもちょっとでも気を抜くとおおきにぃなんて愛想よく発音してしまったりするくらいだからななどとひとりゴチたり。


でも、一番気に入ってるのはエンディングの部分。コーチとお父さんとゲイらしい従兄弟がクリケットをやってるシーン。最後にカメラが空へと昇っていくところが、あらゆる点で

これは完璧なんじゃなかろーか?


と思うのだ。イロイロあったり今もあるだろう三人がクリケットをやる草原とその奥に見える殆ど同じ概観(茶色の屋根)の慎ましい一戸建てが立ち並ぶ町並みとクリケットの後方で遊ぶ子供。この子供が転んでしまうのだが、直ぐには起き上がらない。母親のほうを向いて腹ばいのまま待っている。どう考えても子供が転んだのは偶然なんだが、その部分も含めて完璧にみえる。しかも空が映ると飛行機がスーッと飛んでいる(この映画では何度も飛行機が映る)し、その飛行機とは反対方向に、お菓子か何かを売ってる車が音楽を流しながらゆっくりと走ってくる。この物売りのメロディが最後に残ってエンドロールに繋がる。またこの出演者とか監督やスタッフが歌うエンディングが非常に気持ちいい。


偶然まで含めてとても気持ちよい効果を生み出している原因は監督等の能力なんだろうけど、オマケのインタビューにあるように撮影現場は他に類を見ないほどすべてが良く機能していた、その雰囲気が効いているんだろうなとぼんやり思った。つまりなんつーか意識しえないレベルでの成功。ま、現場の空気を作る、これも監督の能力の一つなんだろう。素晴らしい。がチャダ監督の映画についてサパーリ聞かない。


なにやってんだよ英映画界。