ハンナ 【Hanna:2011】

見た。


ハンナ - オフィシャルサイト


いやーね、わたしゃ金髪の美少女が殺戮機械(機械とかいてマシーンと読むのだ)やってるというのでこれを期待したんだよ。





それなのに!ヒットガールにすら及ばない、ぜんぜん及ばない、足元にも及ばない、見上げてみればクロエ・グレース・モレッツの足の裏がちーさく点ほどに見える程度の出来。おまえさ、アクション映画のくせにアクションぜんぜん駄目じゃないか。


そもそも脚本が駄目すぎるんだけど、アクションだけでもキレの良いもの見せてくれれば納得できたものを…。というか目を引く画面がひとつもなかったという。ジョー・ライトさ、シアーシャ・ローナンが好きなんだろうけどせめて彼女くらい綺麗に撮れよと。


ネタばれしますけど、この主役のハンナ(シアーシャ・ローナン)は遺伝子操作された子供で感覚器官が鋭敏化してたり筋力が増強されているんだけど、そういう描写がまったくない。台詞だけなんだな。あのね、アクションが駄目なのもそこに一因あると思うんだ。


ハンナのアクションはヒットガールとちがって男のアクション、それも大人のアクションそのままなのね。実際、大の男と組み手のような戦闘で遣り合ってる場面も対等で一歩も引かずに全て受け止めていたりする。あのね、力強くても体重は絶対的に軽いんだから受けたら飛ぶはずなんだけどがっちり受け止めるんだよ。


この不自然さを解消するためには、


1.男の攻撃を正面から受け止めて、体重の軽さゆえに吹っ飛ばされる・持って行かれるんだけどもそれを巧く次の攻撃に繋げる(回転に変えるとか)。

2.戦闘シーンのなかにハンナn強化された筋力なり鋭敏化した感覚を示す画をちょくちょく挟み込む。踏ん張った足もとの地面が軽くへこむとか土煙がぼわっとでるとか手のひらで握ったものがつぶれるとか。

そういうのがまったくない。たんに大男どうしが殴り合ってる片方をハンナに置き換えただけなんだもん。それにシアーシャ自身アクション苦手っぽい。顔もそうだけど身体も大人になって重いからヒットガールにはなれない。


でも、そういうところを誤魔化すためにストロボのような照明つかったり細かくカット繋いだりなにがどうなってるのか分らないほどカメラ寄ってみたり激しい音楽を大音量でかけるんだけどぜんぜんだめ。


音楽って元々ある映像の補助にはなるけど音楽だけでどうにか出来るはずがない。駄目なアクションシーンにいくらアップテンポの音楽を大音量で流したって意味ねーよ。うるさいだけ。その音楽にあわせた動きとかカット割りしてればまだしもそれも出来ていない。センスないんだな。同じイギリスでもガイ・リッチーとか巧いのにな。


ということで脚本だめアクションだめシアーシャを綺麗に撮ることもできていないぜんぜん駄目映画。


だいたい父ちゃんのエリック・バナひとりでやれるだろ。追って来る悪役はCIAのケイト・ブランシェットが雇ったフリーランスの下請け連中なんだけど、こいつらがしょぼすぎる。こいつら身長は高いけどひょろひょろで、ムキムキのエリック父ちゃんとやりあっても一方的ないじめにしか見えないもの。貧乏で栄養不足なまま成長してしまった可哀想なネオナチのあんちゃんたちを、たくさん食べてしっかり訓練うけた大男がぶちのめすだけという、悲惨なことになっている。


ほめるところがあるとすればケイト・ブランシェットの演技だろうけど、彼女がなぜこんな映画に出演したのか謎だわ。