ウォーカー 【Walker:1987】

見た。





いやー、いろいろと酷かった。ウィリアム・ウォーカー(wikipedia)という歴史上実在した人物を主役(エド・ハリス)にしたお話なんだけど、冒頭いきなりとてもやる気の無い戦闘シーンとおちゃらけた感じの音楽で始まったのを見たとき、やっちまったなと思った。


たぶんすっごく低予算の映画。なのでいろんなところがショボイ。なので全体的にお笑いっぽくしたのはその低予算を逆手に取った苦肉の策のような気もしないではない。あれでシリアスな歴史アクションドラマにしたらどうやったって見られる代物にはならなかっただろうし。


中盤くらいまでは異様にテンポがよくどんどん話が進んでいく。これを見ていて思い出したのがヴォルテールの『カンディード』で、あれとよく似た笑いが自然とわいてくる。どうも内容とは別個にある種のテンポのよさというか話の飛ばし方それ自体に笑いのタネがあるように感じる。哲也先生の『ノベル氏』なんかも似たようなことを感じてる。あれは前後の文を見ると「完全に笑わせにかかってんなぁ」という飛ばし方になってるけど。


で、そういうテンポのよさに加えて一種異様なまでに真面目な演技をするエド・ハリスの存在が効いていて、ちょっと狂気も感じたりする。笑いと狂気ってお隣さんどうしという感じなので当たり前かもしれないけれど。



で、終盤あたりになけなしの予算のすべてを使い切ったんじゃないのかな?という燃え上がるグラナダのシーンがあるんだけど、ここが無駄に長い。すんごいながい。悲しくなるほどショボイんだけどここが見せ場なのね、わかったからもういいよ、というほどながい。このシーンでウォーカーの弟が突如美青年となっておっちぬところもわけわからん。


しかしほんとうの驚きは最後の最後に残されていたのだった。ちょっと『カウボーイ & エイリアン』(予告しか見てないけど)を思い出した。うむ。なんと言っていいやらわからない。破綻してるようにしか見えない。


で、エンドクレジットが流れ始めるとさらにびっくりする。クレジットの横に小さく画面が切ってあって、そこには現代のアメリカが中米で行ってきた数々の残虐行為のドキュメンタリー映像が流されているのだった。これがえぐいむごいおぞましい。最初からドキュメント映画にすればよかったのに。