野生の証明 【Yasei no shômei:1978】

見た。


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冒頭の蛇食い=スネークイーターと自分の腕食ってるところしか覚えてなかった。ひょっとしたら見たのは初めてかもしれない。


自衛隊特殊部隊の概要を示すためにアメリカ大使を人質にとって別荘に立てこもった赤軍を排除するシーンが最初にあって、ここでもう爆笑。


別荘を見下ろす山に到着した連中はまっ黒なハンググライダーで飛び立って別荘屋上にいたテロリストを脚で絞め殺し、突入して全員を射殺する。ここはほとんどコメディで、音楽もルパン三世っぽいのが掛っているので、そういうものとして見れば面白い。というか音楽大野雄二だから似ていて当たり前か。実写との相性も悪くなかった。


でも、コメディじゃないんだな。そこが悲劇。


だいたい特殊部隊の指揮官が松方弘樹で、これが一目で爆笑(そいうや弟が実写版ルパン三世やってたな)。熱演なんだけど浮いてるんだな。このひと『十三人の刺客』でも浮きまくってた。使いづらい役者だ。動きがもうふっるい時代劇で固定されてるんだな。だれも突っ込みをいれられないんだろう。ダメ出し続けて松方を泣かせた!くらいの監督がいれば面白いんだけど。


中盤から後半はもう救いようがないほどボロボロで見ていてつらくなった。高倉健ダメだろうこれは。脚本が頭悪すぎる。原作書いたという森村さんのほうも心配になってくる。あたまだいじょうぶか?


あと血がどぴゅー、どっぱーってシーンが多いんだが、絵具どぴゅー、絵具どっぱーにしか見えない。いくらなんでもあれはないだろうと。誰だって血を流したことくらいあるんだから、あんな流血シーンよくOKが出せたなと。


薬師丸ひろ子のデビューということだったけど、なんかかわいそうになった。ろくでもないおっさんどもに囲まれて酷い目に会ってきたんだろうなと思った。そのうえで今の薬師丸ひろ子を思い出すと良く頑張ったねとしか思えない。


あと薬師丸ひろ子でいうと、なんかこう面白い顔してるのね、このころ。可愛いわけではないけどなんか魅力はある、確かに。今で言うと多部未華子なんかがそういう感じ。


高倉健が一番よかったのは、家に帰ってみると薬師丸ひろ子が机に突っ伏して泣いていて、どうしたんだって聞いたらお父さんの誕生日にケーキ買ってきたんだけど落としてぐちゃぐちゃになっちゃったってこたえるシーン。そのあとに、大丈夫だよ、おいしいよって慰めるところが、どうみても素でしょwwっていうくらいに変に優しい感じ。高倉健がどういう人か知らないけど、ああいう人なんじゃないのかなーと思って、なごんだ。それ以外は見るところない。


しかし、こんな映画に客が入ってたとしたらまじめな映画製作者は絶望してたんだろうなとか思った。それくらい酷い。


これはもう『戦国自衛隊』も見るしかない。


とか思ったけど、いまやっているNHK大河ドラマ『江』は同じかそれ以上に酷い出来だ。あのアクションシーンはいったい誰がOKを出したんだ。まともなおつむじゃない。クソすぎるだろ。あれだよ、夢路いとし・喜味こいしくらいのお年寄りが作ってるってんならあれくらいスローでも許せるけどな、違うよな?演出は早めに死んだほうがいいと思う。手遅れだから。