一晩中雨。早朝止む。



早朝5時30分もかかわらず外気温が異様に温い。暑いくらい。



映画『ディファイアンス』を見る。これは今年一番の面白い映画。『慰めの報酬』といい勝負だった。



というわけでもなかったけれど、ダニエル・クレイグはかなりいい役者なんではないか?という評価が、党員のあいだで定まりつつある様子。

ディファイアンス 【Defiance】

これを見てきた。


ディファイアンス(音がでます)


これは面白かった。素晴らしいのは、クソ野郎が一匹残らずきっちりぶち殺されるところ。もうほんともれなく地獄へと送りこまれる。すっきりー!


ふう。おちつけ。


ナチに侵攻、占領されたベラルーシで、実際にあったというユダヤ人たちの逃避行というか、逃避と抵抗。ただし舞台が深い森のなかであるところが面白い。あのような美しくも厳しい深い森のなかで1200人のユダヤ人が終戦まで生き延びたという事実にはびっくりした。


そもそもは、一家で密輸を生業にしていたと思われるビエルスキ兄弟がナチのユダヤ人狩りから逃れて勝手知ったる森の中へ逃げ込んだのが始まりで、そこに同じように逃げてきたユダヤ人たちが集まりはじめ、ついにはどこぞの街のゲットーにいたユダヤ人たちをほぼ丸ごと避難させ、受け入れることになる。


ユダヤ人たちは、ある時彼らを追跡してきた地元の警官連中と撃ち合いになったときに、リーダーであるトゥビア・ビエルスキ(ダニエル・クレイグ)が「早く帰らないと日が落ちてしまうぞ」と彼らを脅せるほど深いところまで逃げている。そんなところで木を切り小屋を建て、さらに土を被せて防空壕のようなものまで作りあげ、そこに子供から年寄り、時計職人や雑誌記者、教師といったさまざまな職についていた人たちが集まり、共同体が形作られていく。そこでは身に着け逃げてきた金目のものはすべて供出し、食糧や武器の購入のために使い、すべての構成員が何がしかの仕事をし、食べ物を分け合う。その様子が結果的にキブツのようになっていて面白い。


また、ビエルスキ兄弟そのものの関係も面白い。慎重で真面目、しかし大事な瞬間には誰よりも残酷で狂暴にもなれる長男。いつも兄とぶつかっている、戦前から乱暴・粗暴な次男はほとんど不死身。へなちょこだった三男はゲリラ戦を続ける間に急速に成長し素晴らしい戦士になり、ハリー・ポッターの友達に似た気の優しい四男は小さな体を生かして、腕のいい斥候になる。このあたりのキャラクターのバランスもよくて見ていて飽きない。


また、逃げ回るだけの映画かと思っていたけれど、結構戦闘シーンも力が入っていて見ごたえがあった。ただ、最後の戦闘シーンは、ちょっと惜しい。タンクを中心に据えた正規軍を相手に斜面にはなっているものの遮蔽物もない土手のようなところで、真正面で対峙するというのはどう考えても無謀で、退却が無理ならせめて左右に大きく分かれるべきだと思う。まあ、トゥビアが側面に回り込み、ナチどもに痛撃を与える、というのがそもそも作戦として頭にあったならいいのだけども、大蟻食先生もつっこんでいたように、兵士もタンクもトゥビア側に気を取られている間に、正面の部隊は攻め込まなければいかんだろうと。あと、ナチ野郎どもがたくさん死んでいるはずなのに、遺体がいっこうに増えていないのは画竜点睛を欠いているようで勿体なく感じた。死体がなんども蘇ってはヒーローに殺される、というのは安い時代劇のようだ。


生き残ったビエルスキ兄弟はその後アメリカに渡り、運送業を生業にしていたということだけど、本当はマフィアになってるんじゃないのかな、と思った。長兄次兄の組み合わせからはそうとしか思えない。三男はよい戦士になっていたのにソ連軍などに入るからあんなことになっちまうんだ、勿体ない、などと思った。


英語とロシア語のようなベラルーシ語?の使い分けがよくわからないと言っていたら、原作を読まれたという大蟻食先生が、英語の部分はイディッシュ語のつもりだろう、と教えてくださいました。また、ズウィックのカメラワークは縦横自在に動き、ソダーバーグのチェとは違って焦点深度を浅くして撮った森は奥行きがあって美しいという哲也先生の指摘はとても自分では考えつかない、思いもよらない映画の見方だったので、あの言葉を聞くことができただけでも十分価値があった。贅沢だ。いつも行ってる人たちが羨ましいわ、ほんと(しかし、Oohさんは白黒映画嫌いなの?と言われてズバリ的中していることにその瞬間気がついた。すげえ)。


ズウィックって誰かに似ていると思ってたんだけど、思いだしました。良いほうのアンダーソン、PTAが撮った『マグノリア』で冴えない警官をしていたジョン・C・ライリー(John C. Reilly)だ。これはちょう似ている。


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